広間での音楽会

ピーテル・デ・ホーホの『広間での音楽会』

ピーテル・デ・ホーホによる『広間での音楽会』は、1663年から1665年にかけて制作されたオランダの絵画で、現在はライプツィヒ造形美術館に所蔵されています。この作品は、17世紀オランダの絵画黄金時代を代表する傑作であり、音楽の楽しみを描いた美しいシーンを提供しています。

作品の概要

ホフステーデ・デ・フロートによる1908年の記述によると、この絵は大きな広間の左側を描いており、3人の人物がテーブルに座っています。テーブルはペルシア絨毯で覆われており、そこにはオレンジが置かれています。音楽の瞬間を捉えたこの絵では、ひとりの紳士がチェロを弾いており、もう一人がフルートを演奏し、女性が歌を歌っています。

フルート奏者は、つばの広い帽子をかぶっており、テーブルの後ろに位置しています。チェロ奏者はテーブルの右側におり、鑑賞者の視線に完全に捉えられています。彼は長い巻き毛を持ち、膝丈の半ズボンをはき、ピンクのダブレットを白いシャツの上に纏っています。右手でチェロの弦を押さえながら、左手でグラスを掲げ、右隣の女性に視線を向けています。

女性は楽譜を膝の上に置き、緑の胴着と黄の絹のスカートを身に着けています。さらに、二人の男性の間には子供がひとりいて、彼の背後には他の男女が立っています。また、右端には小さな犬が近づいてくる様子も描かれています。

壁面と背景

広間の奥には石でできた階段があり、その先にはドアがあります。このドアからは明るい光が差し込み、右側のドアには若い男女が立っています。美術的な配慮がなされた壁面には、ラファエロの名画『アテナイの学堂』の複製が描かれていますが、実際には別の絵画が掛けられていたと考えられています。

この作品が描く広間は、アムステルダムの市庁舎の中央広間のギャラリーであると推測されており、背景に描かれたギャラリーは、おそらく婚姻登録事務所の近くにあるものです。右側のドアは、実際にその登録事務所である可能性があります。

デ・ホーホのその他の作品

デ・ホーホは、アムステルダム市庁舎の内部を描いた作品を少なくとも2点制作しています。彼の作品は、日常生活の一瞬を捉え、自然光の変化や人物の感情を巧みに表現していることで知られています。この『広間での音楽会』もその一環として、高度な技術と芸術性が融合した例といえるでしょう。

結論

『広間での音楽会』は、17世紀オランダ絵画の魅力を体現した作品で、音楽と人々のふれあいを鮮やかに描写しています。デ・ホーホのビジョンと技術が結集したこの絵は、オランダの豊かな文化と歴史を感じさせるものであり、観る者に深い印象を与えます。

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