庄内神楽

庄内神楽とは

大分県由布市庄内地域（旧庄内町）に伝わる神楽の総称で、由布市指定無形民俗文化財およびおおいた遺産に認定されています。大分県を代表する民俗芸能の一つであり、地域住民によって大切に守り伝えられてきました。

歴史

庄内神楽は、明治初期に豊後神楽発祥の地から伝承されたとされています。当初は社家衆団による奉納でしたが、後に一般の氏子による同好会的な神楽舞集団が組織されました。五穀豊穣を祈り、豊作に感謝する神事として、神社に奉納されてきた歴史があります。

庄内地区系

明治時代初期、高津の佐藤菊太郎が犬山神楽を伝授され、神楽座を結成したのが始まりとされています。犬山神楽を伝えたのは、野村由蔵、甲斐富吉、足立松三郎の3人です。大正時代から昭和初期にかけて多くの神楽座が誕生しましたが、詳細な記録は少ないのが現状です。

阿蘇野地区系

阿蘇野地区の2つの神楽座は、深山流神楽に起源を持ちます。阿蘇野神社の神楽座は江戸時代末期頃に、直入中臣神社の神楽座は1873年（明治6年）に深山流神楽の指導を受けたとされています。

近年の動向

1981年（昭和56年）に始まった庄内ふるさと祭りをきっかけに、庄内神楽祭りも開催されるようになりました。子供神楽を含め、12座が出演し、後に県立碩南高等学校郷土芸能部が加わり13座での出演となりました。

1997年（平成9年）には、雲取神楽座がオーストラリア公演を行い、ジャズ神楽を創始するなど、各神楽座の活動は多岐にわたっています。また、庄内神楽系の団体として、大分神楽社が発足しました。

1980年代には、ふるさと創生事業の一環として、神楽殿式の多目的野外ステージが庄内総合運動公園内に建設され、1991年（平成3年）には庄内神楽が一村一文化事業の対象に指定されました。

2007年（平成19年）には、由布市無形民俗文化財に指定され、2008年（平成20年）にはおおいた遺産に認定されました。

定期公演

毎年5月から10月の第3土曜日には、庄内総合運動公園の神楽殿で各神楽座による定期公演が行われています。

主な演目

五方礼始（ごほうれいし）
日割（ひわり）
国司（くにつかさ）
大蛇退治（おろちたいじ）
戸開き（とびらき）

神楽座一覧

庄内神楽には、12の神楽座と庄内神楽有志会の計13団体が存在します。

阿蘇野神楽座（深山流）：明治初期に深山流神楽が伝授され発足。阿蘇野神社を拠点に活動。
櫟木神楽座（犬山流）：1977年（昭和52年）に発足。大分市の春日神社に奉納を行っている。檪木の杜神社を拠点に活動。
大龍神楽座（犬山流）：1985年（昭和60年）に発足。宮城県登米市での公演経験も持つ。稲荷神社を拠点に活動。
小野屋神楽座（犬山流）：1968年（昭和43年）に発足。「大蛇退治」では4頭の大蛇が登場する。天神社を拠点に活動。
雲取神楽座（犬山流）：1927年（昭和2年）に高津神楽から伝授され発足。海外公演やジャズ神楽の創作など、独創的な活動を行う。天満社を拠点に活動。
庄内子供神楽座（犬山流）：1976年（昭和51年）に発足。庄内町の小中学生で構成される。原村神社を拠点に活動。
庄内原神楽座（犬山流）：1927年（昭和2年）に小原神楽座として発足し、1976年（昭和51年）に改称。原村神社を拠点に活動。
竹の中神楽座（犬山流）：1902年（明治35年）に発足。大津留地区を拠点に活動。
中臣神楽座（深山流）：1873年（明治6年）に深山流神楽が伝授され発足。直入中臣神社を拠点に活動。
平石神楽座（犬山流）：1975年（昭和50年）に高津神楽から伝授され発足。諏訪神社を拠点に活動。
みの草神楽保存会（犬山流）：1987年（昭和62年）に発足。西蓑草を拠点に活動。
* 瓜生田神楽座（犬山流）：1914年（大正3年）に高津神楽から伝授され発足。柿原神社や瓜生田山神社を拠点に活動。

使用される楽器

庄内神楽では、太鼓（大太鼓、小太鼓）、横笛、銅拍子が使われます。

まとめ

庄内神楽は、地域の歴史と文化が息づく貴重な民俗芸能です。多様な神楽座がそれぞれの特色を活かし、伝統を守りながらも新たな試みに挑戦し続けています。地域の人々の熱意によって、その魅力は今もなお、多くの人々を惹きつけています。

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