府中愛宕山古墳

府中愛宕山古墳

府中愛宕山古墳は、茨城県石岡市北根本に所在する古墳時代後期（6世紀初頭頃）に築造された前方後円墳です。この古墳は、恋瀬川流域の台地上に位置し、南西約300メートルには舟塚山古墳があります。霞ヶ浦との位置関係から、愛宕山古墳は「出舟（でふね）」、舟塚山古墳は「入舟（いりふね）」という通称で呼ばれています。

概要

愛宕山古墳は、1897年（明治30年）に東京大学の坪井正五郎によって発掘調査が行われました。その後、1979年（昭和54年）には周溝確認のための発掘調査も実施されています。墳形は前方後円形で、前方部が南東方向を向いています。墳丘の周囲には周濠が巡らされており、明治時代の調査では無文素焼（土師器）の壺が7個発見されました。また、墳丘からは形象埴輪が出土したとされていますが、詳しい内容は明らかになっていません。

1971年（昭和46年）には、古墳域が茨城県指定史跡に指定され、その歴史的価値が認められました。

墳丘

墳丘の規模は以下の通りです。

墳丘長: 96.6メートル
後円部:
直径: 57メートル
高さ: 8.5メートル
前方部:
幅: 57メートル
高さ: 7.5メートル

この墳形の築造企画は、大阪府羽曳野市にある誉田御廟山古墳との類似性が指摘されています。墳丘の周囲を巡る周濠の幅は、後円部側で約16メートル、前方部側で約24メートルとなっています。

遺跡歴

1897年（明治30年）：東京大学の坪井正五郎による発掘調査
1971年（昭和46年）12月2日：茨城県指定史跡に指定
1979年（昭和54年）：周溝確認のための発掘調査

文化財

茨城県指定文化財
史跡: 府中愛宕山古墳（昭和46年12月2日指定）

参考文献

史跡説明板（石岡市教育委員会、2014年設置）
茨城県史料 考古資料編 古墳時代、茨城県、1974年
日本歴史地名大系 8 茨城県の地名、平凡社、1982年
日本古墳大辞典、東京堂出版、1989年

関連項目

舟塚山古墳

外部リンク

府中愛宕山古墳 - 茨城県教育委員会
* 府中愛宕山古墳 - 石岡市ホームページ

府中愛宕山古墳は、その歴史的価値と周辺の自然環境が調和した、地域の重要な文化遺産です。古墳の形状や出土品から、当時の社会や文化を垣間見ることができます。また、舟塚山古墳との関係性や「出舟」という通称は、この地域における古代の歴史を物語る上で重要な手がかりとなっています。

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