座金

座金：ボルト締結における重要な部品

座金とは、ボルトとナットを締結する際に使用する薄い金属板状の部品です。ナットの下に挿入することで、ボルトとナット、そして締結対象物との間の密着性を高め、ナットの回転を防ぐ役割を果たします。英語ではワッシャー（washer）と呼ばれ、ねじの径に合わせて様々な規格が定められています。幅の狭いカラーと形状が似ているため、混同されることもあります。

座金の用途

座金は、以下の用途で使用されます。

1. 座面の保護

ナットやボルトの頭部が締結対象物にめり込むのを防ぎます（座面陥没防止）。また、穴径がボルト径よりも大きい場合、座面を安定させる効果もあります。

2. 緩みの防止

振動などによるボルト・ナットの緩みを防止するために使用されます。特に、ばね座金は緩み止め効果に期待できますが、その効果は使用条件に依存し、万能ではありません。

3. 気密性確保

気密が必要な箇所では、銅、アルミ、ゴム、ポリカーボネート、PTFEなどの材質の座金が用いられます。この場合、ガスケットと呼ばれることもあります。

4. 絶縁・導電

電気機器では、絶縁が必要な場合は紙製やプラスチック製の座金、アースが必要な場合は導電性の金属製座金が使用されます。

座金の主要な種類

座金には様々な種類があり、それぞれ用途や特性が異なります。代表的な種類を以下に示します。

1. 平座金

最も一般的なタイプで、平らな円盤状をしています（JIS B 1256）。ねじの通し穴が大きい場合や、軟質材料を使用する場合などに用いられ、座面陥没を防ぐ役割を果たします。

2. ばね座金

平座金の一部を切り欠き、ねじることでばね作用を持たせたもの（JIS B 1251）。振動による緩みを防ぐ効果がありますが、使用条件によっては効果が限定的となる場合があります。三次元有限要素法解析によると、ばね座金の角部がナット座面に食い込むことで緩みにくさを得る反面、この角部を中心とした回転によって小さい力で緩んでしまう可能性も示唆されています。

3. 皿ばね座金

皿ばねの形状をした座金（JIS B 1252）。ばね定数が大きいため、高力ボルトに使用されます。

4. 歯付き座金（菊座金）

外側または内側に多数の歯を持つ座金（JIS B 1255）。締め付け時に歯がつぶれることで、過大な軸力を防ぎます。歯を完全に潰さないよう注意が必要です。内歯形、外歯形、皿形、内外歯形などがあります。

5. 転がり軸受用座金

ベアリングナットと共に使用される座金（JIS B 1554）。内側に1枚、外側に多数の歯があり、これらの歯を溝に嵌め込むことで緩みを防止します。

6. 球面座金

座面が球面になっている座金（JIS B 5213）。任意の角度で締め付けが可能です。

7. ロックワッシャー

内側が軸に食い込み、外側がナットの角に引っかかることで緩みを防止する座金。

8. テーパーワッシャー

両面が平行ではない、一定の角度が付けられた四角形の座金。穴の座面が水平でない型鋼などに使用されます。

9. 波形座金（ウェーブワッシャー）

ばね鋼製の平座金を波型に曲げた座金。つぶれることでばねの働きをし、軸方向の隙間を除去します。ネジの緩み止めや脱落防止にも効果があります。スプリングワッシャーと異なり、追加の平座金は必要ありません。

座金に似た部品：卵ラグ

卵ラグは、平座金にリード線をはんだ付けできる端子部分が付いた金物です。プリント基板を金属筐体に固定する際に、電気的接続も確保できます。英語ではsolder lug、solder lug terminal、terminal lug solder ringなどと呼ばれます。

まとめ

座金は、一見単純な部品ですが、その種類や材質、用途は多岐に渡ります。適切な座金を選択することで、ボルト締結の信頼性と安全性は大きく向上します。設計やメンテナンスの際には、それぞれの座金の特性を理解し、最適なものを選ぶことが重要です。

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