座頭市物語

『座頭市物語』

『座頭市物語』（ざとういちものがたり）は、1962年に公開された日本の映画で、勝新太郎が主演する座頭市シリーズの第1作目です。この作品は、子母沢寛の短編「座頭市物語」を基にしており、浪曲「天保水滸伝」に登場する侠客の抗争をテーマにしていますが、ストーリーやキャラクターは大きくアレンジされています。

映画の背景

勝新太郎は1954年に大映に入社し、それ以降は主に白塗りの二枚目キャラクターを演じてきましたが、なかなか大きな成功を収めることができませんでした。しかし、1960年の映画『不知火検校』でダーク・ヒーローの役を演じたことで新たな道を切り拓きました。この成功を受けて、1961年には『悪名』が公開され、1962年の『座頭市物語』が続きます。そして1965年には『兵隊やくざ』がヒットし、勝新太郎の三大シリーズが形成されていきました。この中でも、特に座頭市というキャラクターは勝新太郎の象徴として大きな位置を占めるようになりました。

あらすじ

物語は盲目でありながら抜群の剣術の達人であるヤクザ、市が主役です。彼は下総飯岡の貸元、助五郎のもとに身を寄せることになります。助五郎が不在の間、雑魚部屋に置かれた市は、飯岡の子分たちと賭け事をし、彼らから金を奪うという初めから波乱の始まりを予感させる展開が待っています。

市は困難な状況の中で、助五郎と後に縁を結ぶことになりますが、彼の周囲には様々な人間が絡む事態が待ち受けています。ある日、市は釣りに出かけた際に、繁造一家の用心棒、平手造酒と出会い、互いに不思議な友情を感じるようになります。特に平手は、病に侵されながらも忠誠心を持って戦う姿が描かれ、物語にさらなる深みを与えています。

市の周囲には、彼を慕うおたねという女性もいます。彼女は助けられたことで市に好意を抱くようになりますが、市はこの恋情にどう向き合うのかが見どころの一つとなります。

物語が進むと、飯岡一家と繁造一家との間で闘争が激化し、市は関わることを避けようとしますが、運命に翻弄される形で戦いに巻き込まれます。平手が病を押して闘いに出ることになり、市との一対一の剣の勝負が繰り広げられる中で、友情や忠誠心、そして無常な運命が描写されます。

スタッフ

本作は、企画を久保寺生郎が行い、原作を子母沢寛が務めています。脚本は犬塚稔が担当し、監督は三隅研次が手掛けています。映像は牧浦地志が撮影し、音楽は伊福部昭による素晴らしい作品に仕上がっています。

『座頭市物語』は、その後の座頭市シリーズに大きな影響を与え、勝新太郎の名を不朽のものとしました。彼の演じた市は、時の流れにさらされながらも、今なお多くの人々に愛され続けています。

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