廕昌

廕昌（いんしょう）: 清末民初の軍人・外交官

廕昌は清末から民初にかけて活躍した著名な軍人及び外交官であり、満州正白旗に属した。彼は1872年に国子監の学生として学業をスタートし、その後、北京同文館の徳文館に進学した。1877年にはベルリンの公使館で三等翻訳官として勤務を開始し、翌1884年にはドイツの軍事学校に入学して軍事技術を学び、同年の冬には清朝から派遣されていたドイツ将官の翻訳を担当した。

その後、廕昌は天津武備学堂に翻訳として任命され、徐々に役職を昇進し、監督、幇弁、総弁を歴任する。1899年にはドイツとの山東省における鉄道・鉱山に関する交渉に従事し、山東路鉱章程に調印するという実績を残した。1900年には、山東佐賛軍務に異動し、翌年には正白旗漢軍の副都統に任命され、さらなるキャリアを築いていく。

1901年、廕昌は駐ドイツ欽差大臣（つまり駐ドイツ公使に相当）として任命され、さらに駐オランダ欽差大臣も同時に兼務する。1905年には帰国し陸軍部右侍郎及び江北提督に任じられるなど、軍事面での地位を確立していった。そして1908年に再び駐ドイツ欽差大臣に戻り、1910年には陸軍部尚書に任命される。

1911年9月には、訓練近畿陸軍各鎮大臣を兼任し、12月には陸軍大臣に任じられた。翌年の辛亥革命が勃発すると、彼は革命派の鎮圧に努めるが、袁世凱の政権が確立されると辞任を余儀なくされる。中華民国が成立した後は、北京政府の外交部において高等外交顧問として活動し、1912年12月には陸軍上将位を授与され、総統府軍事処処長に就任。

その後も活発に活動し、1914年には総統府侍従武官長及び陸海軍大元帥統率弁事処弁事員に任命され、同年5月には参政院のメンバーにも選出される。1917年には王士珍の後を受けて参謀総長に任命され、1919年には中華民国の大総統徐世昌から衛侍武官長に任ぜられる。これにより、彼の軍事的権力も維持され続けた。1923年には荘威上将軍位を与えられるも、1928年に彼は病気により70歳で亡くなる。

廕昌の業績は、その外交的および軍事的な活動から中国の近代史において大きな影響を与えた。彼の生涯は、変革期における中国の政治と軍事に密接に結びついており、その足跡は後世においても記憶され続けることだろう。

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