王士珍

王士珍：清末民初の軍人・政治家

王士珍（おう しちん、1861年 - 1930年）は、清朝末期から中華民国初期にかけて活躍した軍人・政治家です。彼は段祺瑞、馮国璋と共に「北洋新軍三傑」と称され、その軍事・政治手腕は高く評価されました。字は聘卿、号は冠喬、冠儒。

生涯

新軍創設への貢献

王士珍は医師の家系に生まれましたが、家計を助けるため弓馬を習い、1878年に正定鎮標学兵隊に入隊しました。その後、天津武備学堂で学び、優秀な成績で卒業。山海関に戻り、砲隊学堂の運営に携わりました。

1894年、日清戦争に従軍し、平壌防衛戦で日本軍と勇敢に戦いましたが、上官の葉志超に献策や救援要請を拒否され、平壌は落城。敗残兵をまとめ退却しました。

1895年、袁世凱が天津小站で新軍の編制を開始すると、王士珍は訓練指導者として参加し、その能力を発揮して袁世凱の信頼を得ました。義和団の乱鎮圧や黄河の決壊による被災地復興にも貢献し、軍事だけでなく民政面でも活躍しました。

1902年、保定に北洋軍政司が設置されると、王士珍は総参議に任命され、北洋常備軍の訓練・規律整備に尽力しました。その後も陸軍部の要職を歴任し、清朝の軍事近代化に貢献しました。

北京政府での活躍

1911年の辛亥革命後、袁世凱が国政に復帰すると、王士珍は陸軍大臣に任用されました。清朝への忠誠心から一時引退しましたが、1914年に北京政府に復帰。陸軍総長、参謀部総長などを歴任しました。

府院の争いでは黎元洪を支持し、対ドイツ宣戦には反対の立場を取りました。張勲復辟事件では一時的に参加しましたが、失敗後は責任を取って隠居。しかし、段祺瑞に復帰を許され、再び参謀部総長となりました。

安徽派と直隷派の対立が激化すると、王士珍は馮国璋の支持を受け国務総理となりましたが、安徽派の巻き返しにより辞任しました。

晩年

晩年は軍事・政治の前線から退き、京師治安維持会会長として北京の治安維持や慈善事業に尽力しました。彼の活動は、北京を戦禍から守る上で重要な役割を果たしました。1930年7月1日、北平（北京）で死去。享年70歳でした。

王士珍は、激動の時代において、軍人・政治家としてその才能を発揮し、清朝末期から中華民国初期にかけての中国の近代化に大きく貢献した人物として、歴史に名を残しています。

もう一度検索