延坪島

延坪島の概要と重要性

延坪島（ヨンピョンド）は、韓国の京畿湾北西部に位置する二つの有人島から構成されています。大延坪島（テヨンピョンド）と小延坪島（ソヨンピョンド）という二つの島があり、面積はそれぞれ6.19 km²と0.94 km²です。韓国の仁川広域市甕津郡に属していますが、北朝鮮もこの地域に対して領有権を主張しています。

延坪島は北朝鮮の甕津半島からわずか12キロメートルの距離に位置しており、軍事境界線である北方限界線（NLL）に近い重要な地点です。この地域は「西海五島」と呼ばれる島々の一部であり、白翎島、大青島、小青島、隅島と共に位置づけられています。周辺の海域では多くの漁業資源が存在し、グチやワタリガニなどが豊富な漁場となっていますが、近年では中国の漁船による違法操業が問題となっています。

歴史的背景

延坪島は朝鮮王朝時代には黄海道に属しており、1896年には地方行政制度の改編により、海州郡の属島として統治されました。1938年には海州府の設立に伴い、碧城郡に組み入れられました。1945年の日本の統治終了後、延坪島は南側の領域として分割され、韓国側となりましたが、朝鮮戦争中の1950年には北朝鮮の人民軍に占領された地域と考えられています。

延坪島自体は韓国の支配下に留まり、1995年に仁川広域市に組み込まれ、「松林面」から「延坪面」に名称が変更されました。このように、延坪島の歴史は韓国と北朝鮮の緊張関係の中で形成されてきました。

軍事的な緊張と事件

この地域は数回の武力衝突の舞台となりました。1999年には第1延坪海戦、2002年には第2延坪海戦、さらには2010年には延坪島砲撃事件が発生しました。これらの事件は、北朝鮮と韓国の間の継続的な軍事的緊張を象徴しています。

特に、2010年11月23日の砲撃事件は、北朝鮮の軍が約170発から200発の砲弾を発射し、韓国軍が応戦する形で展開されました。この攻撃により、韓国側では兵士が戦死し、民間人も死亡するなど、多大な被害が出ました。逆に、北朝鮮側の被害は明らかではありませんが、その後も韓国軍の警戒が強化されています。

現在の状況

延坪島には約1,689人の住民が暮らしており、仁川市中心部からは122キロメートル離れた位置にあります。現在も韓国軍の海兵隊が駐屯しており、地域の安全を守るための重要な拠点となっています。また、延坪島周辺海域における漁業資源の取り扱いも、今後の焦点となるでしょう。延坪島は、韓国と北朝鮮の緊張関係の象徴であり、その歴史的背景と現在の状況は、引き続き国際的な関心を集めることでしょう。

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