建功神社

建功神社（けんこうじんじゃ）

建功神社は、日本統治時代の台湾・台北に存在した神社です。国家に殉じた人々の霊を祀る招魂社として、1928年に台湾総督府の主導によって建立されました。その建築様式は、従来の神社建築とは大きく異なり、和洋中の要素が混ざり合った独特なものでした。

歴史

建功神社は、台湾における戦没者や殉職者を祀るために設立されました。設立以前は、殉職者を祀る恒久的な場所がなかったため、1902年から招魂祭が開催されていました。当初は台南、後に台北で毎年行われるようになり、台湾神宮の宮司が招魂社の設立を提議しましたが、実現には至りませんでした。

その後、弁護士の簑和が再び神社建立を提議し、台湾始政30周年を記念する事業として、当時の台湾総督・伊沢多喜男によって招魂社が創立されることになりました。伊沢総督は、そのために国庫から予算を確保し、台北植物園内に建設用地を選定しました。1926年4月に地鎮祭が行われ、1928年1月に「建功神社」という社号が公布されました。社号は、中国の古典に由来します。

1928年3月には上棟式、同年7月には鎮座式が挙行され、翌日には臨時例祭が執り行われました。この際、台湾総督をはじめ、各界の代表者や各国領事が出席し、多くの奉納品が寄贈されました。

建功神社は無格社とされ、台湾が日本領となってからの戦死者、殉職者、殉難者が祀られました。日本人、台湾人の区別なく、総督府の審査を通過した者が祭神となりました。1939年時点での祭神審査員には、各界の有力者が名を連ねていました。

1945年の台北大空襲により一部が損壊しましたが、第二次大戦後、中華民国当局に接収され、社殿は博物館や図書館などの教育施設に改築されました。2013年には、「国立中央図書館跡地」として台北市歴史建築に指定されました。

建築

建功神社の設計は台湾総督府営繕課技師の井手薫が担当し、施工は浦田永太郎が行いました。建物はコンクリートとレンガ造りで、主要な施設として本殿、拝殿、鳥居、神橋、神池がありました。社殿の外壁は北投窯業会社で生産されたレンガと洗石で造られ、屋根は銅板瓦や中国風の青瓦が使用されました。内部には阿里山のヒノキが使われていました。

神社の見取り図は、一般的な神社と大差ありませんでしたが、その建築様式は非常に独特でした。和風の構造でありながら、外観は和洋中の要素を取り入れたものでした。特に、ドームや牌坊風の鳥居は、従来の日本の神社建築には見られないもので、当時の台湾の建築様式に影響を与えました。

争議

建功神社の建設時、その独特なデザインは、神社建築の伝統的な様式からの逸脱として、多くの議論を呼びました。設計者の井手薫は、この点について「日本の生活様式はすでに西洋化されており、なぜ神社建築に西洋の要素を取り入れることが批判されるのか」という趣旨の反論をしています。また、「和式、台湾式、西洋式の調和は容易ではなかった」と述べています。

社紋

建功神社の社紋は、八咫鏡の内側で鳳凰が向かい合い、中心上部に「台字紋」があるものでした。これは、日本の精神と台湾の象徴を組み合わせたものでした。

祭神

建功神社には、1928年の鎮座時に15,350柱の戦死者、殉職者、殉難者が合祀されました。合祀された人々には、様々な事件や事故で亡くなった人々が含まれています。1935年時点では、16,805名が祀られており、陸軍軍人が最も多く、次いで警察職員、文官、海軍などが祀られていました。

「建功神社誌」には、祭神の姓名、出身地、祭日、資格、遺族などの情報が記載されています。

神職

建功神社の初代社掌は、佐藤文一郎でした。佐藤は國學院大學の講師でしたが、1928年に社掌に任命され、その後、他の神社の社掌も兼任しました。二代目の社掌は豊福長人で、1941年から1945年まで務めました。

関連項目

台湾護国神社
台湾の神社

参考文献

（参考文献は、提示された情報にはありません）

外部リンク

國立中央圖書館舊址—文化部文化資產局

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