建部寿徳

建部寿徳（たけべ じゅとく）

建部寿徳は、戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将です。天文6年（1537年）に近江国神崎郡建部郷で、六角氏の家臣である建部秀清の次男として生まれました。

幼少の頃は秀栄、後に高光と名乗りましたが、若くして出家し寿徳と称しました。父・秀清は織田信長との戦いで討ち死にし、兄・秀直も主君である六角義治に仕えていたものの、家臣の駒井某によって殺害されました。

寿徳は、兄の仇である駒井某を討つため、近江八幡で待ち伏せし、建部大社の祭礼の日に見事討ち果たしたと言われています。この武勇伝が織田信長の耳に入り、信長に召し抱えられ、近江守山で500石を領しました。

織田家では主に吏僚として活躍し、最初は中川重政の配下として常楽寺で代官を務めました。その後、丹羽長秀の配下となり、若狭国の小浜郡代として小浜城に入り、北陸の物資集散の中継地点の代官職を務めました。

本能寺の変で織田信長が亡くなると、その才能を羽柴秀吉に見出され、秀吉の配下となりました。寿徳は物資の荷扱いや兵糧・弾薬などの管理に長けていたため、秀吉の蔵入地である摂津国尼崎3万石の代官に任命され、大坂の西の備えとして尼崎城と尼崎港の管理を任されました。

天正15年（1587年）の九州征伐では、小西隆佐らと共に豊臣軍の補給を担当し、中継基地である尼崎に莫大な人員・物資が集められる中で、混乱なく任務を遂行しました。また、文禄元年（1592年）の文禄の役では、名護屋城普請の奉行の一人に名を連ねています。

慶長3年（1598年）には、長束正家の下で越前国検地の奉行の一人として活躍しました。

秀吉の死後も尼崎郡代を務め、豊臣秀頼の近習としても仕えました。慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、嫡男・光重が西軍として参加しましたが、戦後、池田輝政の取り成しにより、改易を免れ、所領と尼崎郡代職を安堵されました。

建部寿徳は慶長12年（1607年）に71歳で亡くなりました。その生涯は、戦国時代から江戸時代初期にかけての激動期を、武将として、そして吏僚として生き抜いたものでした。

もう一度検索