建部政世

建部政世：激動の時代を生きた最後の林田藩主

建部政世（たけべ まさよ）は、江戸時代後期、播磨国（現在の兵庫県）林田藩の第10代、そして最後の藩主として、激動の時代を生きた人物です。その短い生涯の中で、彼は藩主としてだけでなく、時代の変革に立ち会うこととなりました。

生い立ちと家督相続

建部政世は、第9代藩主・建部政和の長男として生まれましたが、家督を継いだのは祖父である第8代藩主・建部政醇の三男としてでした。幼名は三二郎と称しました。文久3年（1863年）4月18日、父・政和の死去を受けて家督を相続し、林田藩の藩主となりました。

激動の幕末と戊辰戦争

慶応3年（1867年）12月20日、政世は上洛し、幕末の政治情勢が緊迫する中、その渦中に身を置きました。翌慶応4年（1868年）1月15日には、新政府から華頂宮博経親王らの警備を命じられ、新政府軍の一員として活動することになります。戊辰戦争においては、新政府側に与し、姫路藩征伐に参加するなど、旧幕府軍との戦いにも身を投じました。この時の彼の行動は、時代の流れを読み、新時代を切り開くための決断であったと言えるでしょう。

版籍奉還と廃藩置県

明治2年（1869年）6月24日、版籍奉還により、政世は林田藩の知藩事に任命され、藩主から新たな立場で藩の行政を担うこととなりました。しかし、明治4年（1871年）8月18日、廃藩置県が断行され、知藩事の職を免ぜられることになります。これにより、林田藩は歴史に幕を閉じ、建部政世の藩主としての役割も終わりを告げました。

その後の生涯

明治5年（1872年）7月3日、建部政世は叔父の建部揆に家督を譲りました。その後の建部家は、明治17年（1884年）に叔母婿である建部秀隆の代に子爵に叙せられました。政世自身は、明治10年（1877年）6月16日に24歳という若さでこの世を去りました。その墓所は京都市北区紫野の大徳寺芳春院にあります。

建部政世は、幕末から明治維新という激動の時代を、藩主として、そして一人の人間として生きました。その短い生涯は、日本の歴史の大きな転換期を象徴するかのようです。彼が為した決断と行動は、歴史の中で静かに語り継がれています。

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