弓遵

弓遵(きゅう じゅん)について



弓遵(生年不詳 - 245年)は、三国時代の魏に仕えた帯方郡太守です。彼の名前は、主に倭国との関係において歴史に記録されています。具体的には、238年倭国の女王卑弥呼が魏へ朝貢した際、その返礼として魏の明帝が倭国に与えようとした莫大な下賜品を、実際に倭国へ届けた人物として知られています。

卑弥呼の朝貢と明帝の下賜品



238年6月、卑弥呼は使者を派遣し、魏へ朝貢しました。これに対し、魏の明帝は12月、卑弥呼に対して破格ともいえるほど豪華な下賜品を与えることを決定しました。しかし、明帝が翌239年1月に崩御したため、下賜品の授与は遅れることになります。実際に下賜品が倭国へ届けられたのは240年になってからで、その役割を担ったのが当時の帯方太守であった弓遵でした。

弓遵は、建中校尉の梯儁(ていしゅん)を倭国へ派遣し、明帝からの下賜品を届けさせました。この下賜品の具体的内容は詳細には記録されていませんが、その規模から、倭国との関係を重視していた明帝の意図がうかがえます。この出来事は、当時の倭国と魏との間に、良好な外交関係が築かれていたことを示す重要な史実の一つと言えるでしょう。

韓族の反乱と弓遵の最期



弓遵は、帯方太守として、周辺地域の治安維持にも努めていました。しかし、245年、韓族の臣智(しんち)が反乱を起こした際、弓遵は鎮圧のために軍を率いて出陣します。しかし、反乱軍との戦いの最中にあえなく戦死を遂げ、その生涯を閉じました。

弓遵の死は、当時の帯方郡における政治情勢の不安定さを浮き彫りにする出来事であったとも言えます。帯方郡は、魏にとって重要な地域であり、倭国との外交においても重要な役割を果たしていました。彼の死は、その後の帯方郡の運営に少なからず影響を与えたと考えられます。

まとめ



弓遵は、魏の明帝の時代に帯方太守を務め、倭国との外交において重要な役割を果たした人物です。卑弥呼の朝貢に対する返礼として下賜品を届けたこと、そして韓族の反乱鎮圧中に戦死したことは、彼の生涯における主要な出来事です。彼の存在は、当時の東アジアにおける国際関係や、魏と倭国の交流を理解する上で欠かせない要素となっています。また、彼の死は、当時の地域情勢の複雑さを物語るものでもあります。弓遵の記録は、古代の歴史を研究する上で、貴重な情報を提供してくれるでしょう。

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