弥助

弥助（やすけ）とは？

弥助は戦国時代に日本に渡来した黒人男性であり、生没年ははっきりとしていません。彼は、宣教師の従者または奴隷として織田信長に仕えたことで知られています。弥助は信長に気に入られ、その後、信長から直接に召し抱えられました。弥助の存在は、当時の日本における異文化交流の一例として興味深い内容です。

生い立ち

弥助の出自についての記録は、1627年にフランソワ・ソリエが記した『日本教会史』にみられます。彼はイエズス会の巡察師アレッサンドロ・ヴァリニャーノによって、インドから連れてこられたポルトガル領東アフリカ（現在のモザンビーク）出身の使用人であるとされています。ポルトガルやスペインの商人が日本を訪れる中で、アフリカからの者も従者や奴隷として日本に連れてこられていましたが、その一人が弥助であったと考えられます。

日本への渡来

天正9年（1581年）2月23日、ヴァリニャーノが織田信長に謁見した際、弥助は侍として同行していました。その際の記録によれば、弥助は26～27歳で、非常に力強く「牛のように黒い身体」という印象を与えたことが記されています。また、この黒人男性は日本にとって初めての存在であったため、多くの人々が彼を見ようと集まり、大きな騒動が発生することもありました。

信長は弥助の肌の色に最初は驚きましたが、彼が本当に黒人であることを確認しました。以降、弥助は信長からの関心を得て、「黒坊主」として知られるようになりました。信長は彼に扶持を与えることにし、長い間彼の側近として仕えることとなります。

本能寺の変とその後

1582年の本能寺の変の際、弥助は明智光秀の襲撃に遭いました。彼は信長の嫡男である信忠の宿舎にて戦いましたが、最終的には捕らえられます。その後、光秀の命令により、弥助は南蛮寺に預けられ命を救われました。ただし、それ以降の彼の消息は記録に残っておらず不明です。

歴史的意義

弥助の存在は、歴史の中で異文化の交流や異なる人種の受け入れを考える上で貴重な事例を提供しています。また、彼に関する文献は少なく、当時の社会状況を知る手がかりともなっています。

登場作品

弥助に関するストーリーは多くの文学作品や漫画、映画で取り上げられています。彼を主人公にした作品や、彼からインスピレーションを受けたキャラクターが登場するものも多く見られ、その影響力は今なお続いています。

弥助は、異なる文化や背景を持つ人々が歴史の一部としてどのように生き、また周囲の人々にどのような影響を与えたのかを示す大変重要な人物であり、その生涯は日本の歴史の中で特異な位置を占めています。

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