弥十郎ヶ嶽

弥十郎ヶ嶽（やじゅうろうがたけ）

弥十郎ヶ嶽は兵庫県丹波篠山市にソフトにそびえる標高715.1メートルの山です。この山は、丹波篠山市内では御嶽や小金ヶ嶽に次いで高く、篠山盆地の南側に位置し、地域のランドマークとなっています。弥十郎ヶ嶽は北には多紀アルプス、南には三国ヶ岳と愛宕山を伴い、篠山盆地の四方を囲む山々と共に美しい景観を形成しています。人名がついた山の中では、兵庫県内において三田の甚五郎山とともにあげられる存在です。

山頂には二等三角点があり、比較的広いスペースが確保されています。南側は木々に覆われているため眺めは制限されていますが、北側にはおよそ180度の視界が広がり、篠山の町や御嶽、西ヶ嶽、小金ヶ嶽など360度のパノラマが楽しめる場所となっています。また、西光寺山や白髪岳、松尾山、夏栗山、大野山、黒頭峰といった周囲の山々を一望できるため、登山者には格好のポイントとなります。これらの特徴から、多くの登山客が訪れ、自然を堪能しています。

弥十郎ヶ嶽の名の由来は二つの説があり、一つは山腹にある洞穴に住んでいたとされる山窩から来ているというものであり、もう一つは弥十郎ヶ岳の南方にある八上からの訛りだと伝えられています。この洞穴は間口が約5メートル、奥行きが約10メートルの大きさで、北西方向にある谷の近くに位置しています。

歴史的背景としては、弥十郎ヶ嶽の北峰から北西に行くと、かつて中世・戦国時代に波々伯部一族の平内が拠点とした火ともし山があります。この山は平内丸とも称されており、その存在は当時の重要な拠点となっていました。その西側には波多野氏の本城である八上城が位置し、地域の歴史を物語っています。

登山に関しては、弥十郎ヶ嶽は多くのルートが設けられており、特に篠山後川郵便局付近から北上する竹谷コースや、丹波篠山市畑市からの薬師ヶ原キャンプ場コースが一般的で、いずれも1、2時間ほどで頂上に到達することが可能です。特に、籠坊温泉コースや竹谷コースは京阪神からのアクセスが良く、籠坊温泉が登山口付近にあるため人気があります。かつて薬師野ヶ原キャンプ場の跡地が登山口となっていましたが、現在はキャンプ場としての利用は行われていません。また、四十九院跡を通る登山コースは、その名の通り多くの僧坊の跡が見られ、歴史的な面でも注目されています。

最後に交通アクセスの面では、自動車を利用する場合は兵庫県道309号福住三田線の篠山後川郵便局付近から約1.5時間歩けばアクセスできます。また、公共交通機関を利用する場合は神姫バスまたは阪急バスを利用し、後川で下車後、徒歩で約1.5時間となります。

周辺には八上城や多紀アルプス、篠山盆地などの観光スポットが点在しており、訪問者は山登りの他にも豊富な自然を楽しむことができるでしょう。

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