張保皐級潜水艦

張保皐（チャンボコ）級潜水艦：韓国海軍の潜水艦戦力の中核

張保皐（チャンボコ）級潜水艦は、韓国海軍が運用する通常動力型潜水艦であり、ドイツの209型潜水艦シリーズに属します。艦型番号は209/1200型。

開発の経緯

北朝鮮が早くから潜水艦を導入・建造していたのに対し、韓国海軍では潜水艦の保有計画がなかなか実現しませんでした。1980年代に入り、ようやく特殊潜航艇の整備が始まり、イタリア製のコスモス型潜水艦や国産の海豚型潜水艇が導入されました。

本格的な潜水艦導入プロジェクトKSS-1が始動。当初、日本やアメリカの協力を得られなかったため、ドイツの209型潜水艦が選定され、1987年に最初の3隻が発注されました。その後、1989年と1994年にも3隻ずつが追加発注されました。しかし、当初計画されていた18隻の大量建造は実現せず、AIP（非大気依存推進）を搭載した発展型である214型潜水艦に移行しました。

本級の導入にあたっては、1番艦はドイツからの完成品輸入、2,3番艦はドイツで建造されたブロックを韓国で組み立てるノックダウン生産、4番艦以降は韓国でのライセンス生産という段階的な方式を採用し、建造・整備技術の習得を目指しました。

設計

本級は、ドイツのインジェニエーアコント・リューベック（IKL）社の209型潜水艦の設計を採用しています。209型としての艦型番号は209/1200型であり、同系列艦の中でも、特にトルコ海軍のアイ級潜水艦との類似性が指摘されています。船殻構造は単殻式で、非耐圧構造の上部構造を乗せた構造となっています。前後のトリム・タンクと両舷にバラスト・タンクを有し、実用潜航深度は250メートル、最大潜航深度は320メートルです。

主機はディーゼル・エレクトリック方式を採用。MTU 12V493 AZ80ディーゼルエンジンを搭載しています。水中放射雑音低減のため、主機は防音防振支持されており、209型の中でも特に静粛性に優れているとされています。二次電池としては、120セルで放電容量11,500アンペア時のものを4群搭載しており、重量は257トンです。

装備

ソナーとしては、統合式のCSU-83を装備しています。ただし、中周波の艦首アレイのみであるため、対潜戦能力は限定的であり、対水上戦を主目的としたものと評価されています。

艦首には533mm魚雷発射管を8門備えており、長魚雷14発または機雷28発を搭載可能です。搭載魚雷は、当初はドイツ製のSUT Mod.2でしたが、後に国産の白鮫に切り替えられました。ハープーン対艦ミサイル（USM）も導入されていますが、一部の艦に限られています。武器管制用としてISUS-83魚雷発射指揮装置を備えており、4基のディスプレイコンソールが配置されています。

まとめ

張保皐級潜水艦は、韓国海軍の潜水艦戦力の中核を担う重要な艦級です。ドイツの技術を導入しながらも、国産化への道を切り開いた意義は大きく、その後の韓国海軍の潜水艦開発に大きく貢献しました。

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