アンペア時

アンペア時（Ah）とは

アンペア時（記号: Ah）は、電荷の量を表す単位であり、1アンペアの電流を1時間流したときに移動する電荷量と定義されます。これは、3600クーロンに相当します。アンペア時は、電気化学的な測定で頻繁に用いられ、特に電池の容量や電気メッキの分野で重要な役割を果たします。

アンペア時は、英語表記の「ampere-hour」を日本語読みした「アンペアアワー」と呼ばれることもあります。

アンペア時の活用

電気化学の分野では、電池の容量を評価する際にアンペア時が広く用いられます。電池を構成する材料の比容量は、通常mA·h/g（ミリアンペア時毎グラム）で表されます。また、ミリアンペア時（mAh）は、1アンペア時の1000分の1、つまり3.6クーロンに相当します。

X線撮影、画像診断、放射線療法においては、ミリアンペア秒（mA·s）が使用されます。これは、特定の電圧で動作するX線管から発生する総X線エネルギーに比例し、照射時間と電流値を調整することで、線量を一定に保つことが可能です。

ファラデー定数との関係

ファラデー定数は、1モルの電子が持つ電荷と定義され、約26.8アンペア時に相当します。ファラデー定数は、電気化学計算において重要な役割を果たします。

エネルギー単位との違い

アンペア時は電荷の単位であり、ジュール（J）やワット時（W·h）のようなエネルギーの単位ではありません。電池の容量を示す指標として使われ、電池がどれだけ持続するかを表します。電池から供給される正確なエネルギー量を計算するためには、放電中に供給される電力（瞬間的な電圧と電流の積）を時間で積分する必要があります。電池の電圧は一定ではなく、放電中に変動するため、平均電圧や公称電圧が用いられます。

アンペア時の実例

単3形乾電池：約2～3アンペア時
大型自動車のバッテリー：約50アンペア時

1アンペア時の電荷で、融解した塩化アルミニウムから約0.336グラムのアルミニウムを生成可能です。1トンのアルミニウムを生産するには、少なくとも約298万アンペア時が必要です。

関連事項

アンペア
放電容量
電気化学当量

出典・外部リンク

アンペア時 - J-GLOBAL
* ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典『アンペア時』 - コトバンク

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