209型潜水艦

209型潜水艦

209型潜水艦は、ドイツのホヴァルツヴェルケ＝ドイツ造船社 (HDW) が開発した通常動力型潜水艦であり、主に輸出用として設計されました。1967年にギリシャとの契約を皮切りに、14カ国以上で50隻以上が運用されるベストセラー潜水艦です。

開発の経緯

1960年代後半、世界各国で運用されていた旧式の潜水艦が老朽化し、更新の必要性に迫られていました。しかし、当時の潜水艦は大型で運用コストも高かったため、中小国海軍にとっては導入が難しい状況でした。

そのような状況下で、西ドイツは1960年代初頭から潜水艦開発を再開し、201型、205型と独自の潜水艦を開発していました。輸出用の潜水艦を開発するにあたり、205型をベースとすることで、小型かつ高性能な潜水艦を提供できると考え、IKL社とHDW社が共同で開発に着手しました。こうして誕生したのが、ドイツ国防省から209型の名を与えられた輸出用潜水艦です。

設計と装備

船体

209型潜水艦は、単殻構造の耐圧殻に非耐圧の上部構造を組み合わせた設計を採用しています。耐圧殻は、内部に耐圧横隔壁を持たない単一区画構造となっています。上部構造の大きさは艦級によって異なり、全長に及ぶものから、セイルの直後で終わるものまであります。

船体形状は、第二次世界大戦中のUボートXXI型と同様の水中高速型船型であり、艦首はマッコウクジラのような形状をしています。球状艦首は採用されていませんが、発展型の214型では球状に近い形状となっています。

209型には、顧客の予算と任務に応じて、1100型、1200型、1300型、1400型、1500型などのサブタイプが存在します。これらは、最初に開発された1100型を基本として、順次大型化されたものであり、基本的な構造は共通しています。

機関

209型潜水艦は、ディーゼル・エレクトリック方式を採用しており、MTU社製のディーゼルエンジン4基とシーメンス社製の電動機1基を搭載しています。ただし、艦級によって出力は異なります。

HDW社は、209型潜水艦に後付けできる非大気依存推進 (AIP) システムを開発しています。燃料電池システムやスターリングエンジンなどの選択肢が用意されています。

電子装備

ソナー、レーダー、C4Iシステムは、艦級によって最も差異が大きい部分です。多くの場合、STNアトラス社製のCSU/PRSシリーズのソナーシステムが採用されています。最新の209型であるヒロイン級潜水艦では、CSU-90を搭載し、水中攻撃指揮装置などと統合されたISUS-90戦闘システムを構成しています。また、非貫通型潜望鏡も装備しています。

攻撃装備

209型潜水艦は、魚雷発射管から魚雷を再装填できる機構を備えており、各発射管には次発装填装置が取り付けられています。搭載魚雷は、ドイツ・アトラス社製のSUT魚雷やアメリカ製のNT37魚雷が一般的です。艦級によっては、サブ・ハープーン対艦ミサイルの運用能力が付与されている場合があります。

魚雷発射管は、魚雷自走発射式（スイムアウト）を採用しており、発射時の雑音を低減し、設備を軽量化することができます。自走式以外の魚雷を発射できないという欠点を補うため、外装式の魚雷運搬コンテナが開発されています。

運用状況

209型潜水艦は、世界各国の海軍で運用されており、沿岸防衛や哨戒任務などに従事しています。その高い信頼性とコストパフォーマンスから、多くの国で重用されています。

関連項目

205型潜水艦
206型潜水艦
* 214型潜水艦

もう一度検索