張允 (荊州)

張允（ちょう いん）について

張允は、中国後漢時代末期に活躍した政治家であり武将です。彼の生没年については明らかにされていませんが、従父である劉表との関係が彼の運命に大きな影響を与えました。ここでは張允の主な事跡や、『三国志演義』における役割について詳しく見ていきます。

事跡

張允は、劉表の信任を受けながら政治的な権力を拡大しようとした一方で、従父家族内の後継者問題にも関与しました。劉表の死後の後継者として、蔡瑁の姪婿である劉琮を支援し、兄の劉琦を排除する策略を考えていました。劉表の病状が深刻化する中、江夏を守っていた劉琦が見舞いのために戻った際、張允と蔡瑁は、劉表に会わせることで後継者に関する考えを変えられる可能性を懸念しました。そこで、彼らは劉琦を追い返す理由をでっち上げ、劉表の意向を守ることに成功しました。

しかし、劉表が死去した後、劉琮は後継者としての任を果たしましたが、曹操による荊州への進攻が間もなく始まり、劉琮は戦うことなく降伏しました。以降、張允に関する記録は限られており、彼の影響力や行動についての情報は各文献においてあまり存在しません。

三国志演義における登場

著名な小説『三国志演義』においても、張允は重要なキャラクターの一人として描かれています。彼は、劉琮の後継を支える大きな力となるべく暗躍する姿が描かれています。物語が進むにつれて、劉琮が曹操に降伏すると、張允は蔡瑁とともに曹操から水軍の指揮を受けます。

特に三江口の戦いでは、孫権軍に大敗を喫しました。この敗北を受けて、彼らは名誉回復のため水軍の訓練を再開することを決意します。しかし、その頃すでに周瑜が指揮を執る孫権軍は、張允と蔡瑁の技能を警戒しており、曹操の間諜である蔣幹を利用して偽情報を流しました。蔣幹は、張允と蔡瑁が内通していると曹操に伝えました。

結末

曹操はこの情報を真に受け、怒り心頭となり、張允と蔡瑁を呼び寄せて叱責しました。動揺した二人は言い訳することができず、その結果、直ちに処刑されることになりました。処刑後、曹操は彼らが無実であったと知り、偽情報にかかったことを悔やむ姿が描かれています。このエピソードは、張允の運命と彼が周囲の策略に翻弄される様子を象徴するものとなっています。

おわりに

張允の生涯は、後漢の政治的混乱とその影響を受けた歴史的な出来事が複雑に絡み合った結果として位置付けられます。彼の試行錯誤の過程と、最終的な悲劇的な結末は、三国志の世界における人間ドラマを色濃く映し出しています。

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