張国燾

張 国燾（ちょう こくとう）

張国燾は近代中国の政治家であり革命家として知られています。彼は1897年に江西省で裕福な家庭に生まれ、学業においても優れた成績を収めました。1916年に北京大学に入学し、同年には五四運動に参加し、政治活動を始めます。その後、彼は1920年に北京の共産主義グループに参加し、1921年には中国共産党の第一回大会に出席。彼は中央委員に選出され、党の中心的な存在となりました。

彼は1922年にモスクワで開催された第一回極東諸民族大会に出席し、レーニンと会談するなど、党内への影響力を拡大させました。1924年には国民党中央執行委員候補に選出されましたが、同年北京で逮捕され、転向したとして出獄。その後も南昌起義に参加し、これが彼の政治的キャリアにおいて重要な出来事となります。

張国燾は1935年に長征に参加し、その中で中央軍の兵力を保持しつつ、自ら中央を自称する立場を取ります。しかし、1936年に中共に再合流し、以降も多くの役職を歴任しました。しかし、1938年に国民党に転向し、その翌月には共産党から除名されました。このように、彼の党歴は波乱に満ちたものであり、彼の考え方やアプローチは他の党の指導者たちとは違ったものでした。

思想と評価

張国燾の思想は、毛沢東や朱徳と異なり、彼自身が農村出身ではなく、北京大学での学生運動を通じて政治活動に入りました。彼の政治的意見は、民族意識を高めた五四運動の時期に急速に形成されたと考えられています。また、彼はマルクス主義に触れることにより、革命思想を発展させていきます。彼は都会派であり、モスクワに滞在して中国共産党の委員を務めた初の人物でもありましたが、毛沢東の「農村から都市を包囲する」という方法論には賛同できなかったとされています。

中国共産党は彼を「建党の功労者」であり、「最初の反逆者」や「極左冒険主義者」とも評していますが、同時に彼は南昌起義の無謀さを指摘するなど、党内の論争の中で独自の立場を持っていました。彼の南昌起義に対する批判は、周恩来との間での議論を引き起こし、都市の維持に関する見解の相違が後の革命運動にも影響を与えました。

南昌起義と長征

南昌起義は1927年に共産党が南昌を占領して始まりましたが、実際にこの蜂起が何を目的としていたのか、張国燾は疑問を抱いていました。国民党が北伐を進める中で武装蜂起を行っても、国民党軍に対する戦力が欠如しているという点を周恩来に対して論じました。結果として、彼は南昌の占領後にすぐに撤退せざるを得なかったのです。

長征については、張国燾は開始自体を反対してはいなかったものの、党の指導部に対して北進ではなく南進を提案しました。彼のアプローチは、より戦略的かつ計画的な革命を目指すものであり、彼は甘粛や陝西といった地域を失う可能性を指摘するなど、彼の見解は今も議論されています。

結論

張国燾は近代中国の政治において特異な存在であり、彼の思想や行動は、共産党内における様々な戦略的論争を引き起こしました。その生涯を通じて、彼は中国革命の根本的な変化とその結果としての政治的混乱の中で、重要な役割を果たしました。彼の評価は今日においても異なる視点から理解されるべきです。

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