朱徳

朱徳の生涯と業績

朱徳（しゅ とく、1886年12月1日 - 1976年7月6日）は、中華人民共和国の著名な政治家であり軍人でした。彼は原名を朱代珍、朱建徳といい、字は玉階です。中国共産党への入党以来彼は軍事部門で指導的な役割を果たし、中国人民解放軍の「建軍の父」として称賛されています。1949年の中華人民共和国成立後、彼は元帥の首席に就任し、国家副主席や中国共産党中央委員会副主席、全国人民代表大会常務委員会委員長など、数々の重要なポジションを歴任しました。さらに、国家主席制が廃止された1975年から1976年の間、国家元首格としても名を馳せました。

生い立ち

朱徳は四川省南充市で生まれ、小作農の家庭に育ちました。彼の伯父である朱世林は才能豊かな朱徳に教育の機会を提供し、その後の人生に大きな影響を与えました。彼は成都の高等師範学校を卒業し、体育教官としてのキャリアをスタートさせました。この時期、彼は地下結社「哥老会」にも参加し、政治的な意識を高めていきました。彼の軍歴は1909年に始まり、雲南省にある軍事学校に入学したことによりその道が開かれました。ここから、彼は新軍の少尉として任官されるなど、軍人としての経験を積んでいきます。

軍歴と革命

1911年には辛亥革命に参加し、1915年の護国戦争にも活動を拡大しました。1921年には国民党軍を辞し、独自の軍隊組織の重要性を認識した朱徳は、その後共産党への入党を決意しました。上海での孫文との面談を経て、彼は共産党に入党を果たします。

1927年には南昌蜂起を指導し、以降は共産党軍の主要な指導者として活躍しました。特に、革命戦略の一環であるゲリラ戦の手法を確立し、「敵が進めば我は退き、敵が疲れたら我は打ち、敵が退けば我は進む」という戦略をもとにしています。長征においても重要な役割を果たし、1936年には党中央と再合流しています。

日中戦争と内戦

1937年に日中戦争が勃発すると、朱徳は八路軍の総司令に任命されました。彼は国共内戦でも中国人民解放軍総司令を務め、1949年に中華人民共和国が成立する際には新政府の副主席に選出されました。1955年には中華人民共和国元帥としての地位を授与され、十大元帥の首席に位置しました。1945年からは中央政治局への参加も果たし、その後も中国共産党内の主要なポジションを保持しましたが、文化大革命の影響で政治的地位は揺らぎ、1966年には副主席を解かれた時期もありました。

晩年

1975年に国家主席制が廃止されると全人代常務委員長として国家元首格となり、1976年7月に89歳で生涯を閉じました。彼と毛沢東との関係は特別なもので、これまでの農村出身という共通点から互いに信頼し合う関係を築いていました。現在、朱徳は彼の蔭で数多くの業績と貢献を果たした歴史的人物として記憶されています。彼の像は江西省の井岡山革命博物館にあり、毛沢東と並んで置かれています。彼は人民元の100元紙幣にも描かれており、その姿は今なお多くの人々に親しまれています。

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