極東諸民族大会

極東諸民族大会の概要

極東諸民族大会（きょくとうしょみんぞくたいかい）は、1922年1月21日から2月2日まで、ソビエト連邦のモスクワとペトログラードで開かれた国際会議です。この会議は、コミンテルンが主催したものであり、「極東民族大会」または「極東勤労者大会」という名称でも知られています。正式な名称は「極東の共産主義的・革命的組織の第1回大会」です。しかし、その後の大会は開催されることがありませんでした。

会議の背景

この大会は、1921年12月に行われたワシントン会議に対抗する形で企画されました。コミンテルンは、東アジア地域における革命運動の連携を強化し、列強の植民地支配を挑戦することを目的としていました。最初はイルクーツクで「東方被圧迫民族大会」を開催する計画がありましたが、当初計画には日本からの参加者が多いことが分かり、名称変更が行われました。会場はモスクワに移され、日程も若干遅れての開会となりました。

参加者と議題

この大会には、日本、朝鮮、中国、モンゴルなどから合計148名の社会主義者や民族主義者が参加しました。代表的な日本の参加者には、在米日本人社会主義者団のメンバーや国内の社会主義者が名を連ねていました。朝鮮からの参加者は52名で、李東輝や金奎植などが含まれていました。また中国からは、中国共産党の幹部や国民党の代表が参加しました。

会議では、アレクサンドル・ジノヴィエフが議長を務め、「日本の革命なしには極東の革命は成立し得ない」との重要な見解を述べました。日本は革命の組織化が他の国々に比べ遅れている点が強調され、革命運動の進展が議論されました。特に日本代表団は「日本における共産主義者の任務」という文書を採択し、日本の革命をブルジョワ民主主義革命と捉える認識を示しました。

意義とその後の影響

日本共産党の創立は1922年7月15日とされ、この大会はその契機となったと考えられています。この頃、日本の植民地支配を受けていた朝鮮のナショナリストたちも、ワシントン会議で冷淡な対応を受けたことから、この大会での好意的な扱いを重視し、以降はソ連やコミンテルンとの関係を深める動きが見られました。特にこの会議は、朝鮮独立運動が国際的に支援を受ける重要な転機となりました。

参考文献

• - いいだもも（訳編）『民族・植民地問題と共産主義：コミンテルン全資料・解題』社会評論社、1980年
• - コミンテルン（編）『極東勤労者大会 - 日本共産党成立の原点』合同出版、1970年
• - 長田彰文『日本の朝鮮統治と国際関係 - 朝鮮独立運動とアメリカ 1910-1922』平凡社、2005年

関連項目

• - 東方諸民族大会: 1920年に開催された別の国際会議
• - 全ロシア・ムスリム大会

このように、極東諸民族大会は関係国の革命運動の強化、また国際的な交流の促進に寄与した画期的なイベントであったと言えます。

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