張孝傑

張孝傑（ちょう こうけつ）

張孝傑は、遼（契丹）時代の政治家であり、その生涯は栄光と没落に彩られています。彼の足跡を辿り、その人物像に迫ります。

生い立ちと初期のキャリア

張孝傑は、貧しい家庭に生まれましたが、幼い頃から学問を好み、努力を重ねました。重熙24年（1055年）には、見事進士試験で第一位に選ばれるという栄誉に輝き、その才能を世に示しました。その後、清寧年間には、枢密直学士にまで昇進し、着実にキャリアを積み重ねていきました。

栄光と失脚

咸雍元年（1065年）には、誤った上奏を行った事件に連座し、恵州刺史に左遷されるという挫折を経験します。しかし、彼はすぐに旧職に復帰し、知戸部司事を兼任するなど、再び頭角を現しました。咸雍3年（1067年）には、参知政事・同知枢密院事に任命され、工部侍郎の位も加えられました。咸雍8年（1072年）には、陳国公に封じられ、道宗からの信任も厚く、内政についてしばしば諮問を受けるなど、政治家としての地位を確立しました。北府宰相にまで上り詰め、遼朝の漢人としては最高位にまで昇りつめました。

太康元年（1075年）には、皇帝の姓である耶律氏を賜るという、異例の栄誉を受けました。太康2年（1076年）秋、道宗が狩猟で鹿を多数射止めた際、張孝傑は皇帝を喜ばせるような奏上を行い、その寵愛をさらに深めました。

しかし、太康3年（1077年）に皇太子耶律濬が誣告された事件で、張孝傑は皇太子派の粛清に手を貸したことが、彼の運命を大きく狂わせることになります。太康5年（1079年）には、道宗から狄仁傑になぞらえられ、その名を賜るという栄誉を受けましたが、その裏では、彼の姦佞な本質を見抜かれていました。太康6年（1080年）には、武定軍節度使として左遷され、塩の密売や詔書の改竄といった罪を問われ、爵位を剥奪され、安粛州に流罪となりました。

その後

数年後、張孝傑は都に戻ることを許されましたが、かつての栄光は見る影もありませんでした。太安年間には、故郷でひっそりと息を引き取りました。乾統元年（1101年）には、その棺が暴かれ、遺体を辱められるという悲惨な末路を辿りました。一族の資産は没収され、臣下に分配されるなど、徹底的に名誉を剥奪されました。

張孝傑の生涯は、『遼史』巻110 列伝第40 姦臣上に詳しい記述が残されています。彼の人生は、権力と栄光を追い求めることの危うさ、そして一度失った信頼を取り戻すことの難しさを物語っています。

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