参知政事

参知政事（さんちせいじ）とは

参知政事とは、中国の唐代から明代にかけて存在した官職名です。特に宋代においては、宰相職である同中書門下平章事（どうちゅうしょもんかへいしょうじ）の補佐として、政治の大きな部分を占めました。「参政」と略されることもあります。

唐代における参知政事

唐代においては、中書令（ちゅうしょれい）・尚書令（しょうしょれい）・門下侍中（もんかじちゅう）の三職が宰相職とされていました。しかし、太宗（たいそう）が尚書令に就いていた時期があったため、唐代では尚書令は空席とされることが多く、本来は次官である僕射（ぼくや）が宰相となりました。中書令・尚書令・左右僕射の四人が皇帝を前にして宰相会議を開き、政策を決定していました。

しかし、これら四人よりも低い位の官僚が、皇帝の命により宰相に任じられることがありました。この時に、同中書門下平章事や参知政事などの称号が授けられました。

北宋における参知政事

北宋になると、中書門下省（ちゅうしょもんかしょう）の長として同中書門下平章事が正式な宰相職となり、参知政事は中書門下の副官となりました。枢密使（すうみつし）などと共に執政（しっせい）と呼ばれ、宰相会議の一員として政治の枢要を占めました。

北宋中期、元豊（げんぽう）年間に神宗（しんそう）により元豊の改革が実行されると、同中書門下平章事と参知政事は廃止され、代わって尚書左僕射兼門下侍郎（しょうしょさぼくやけんもんかじろう）・尚書右僕射兼中書侍郎（しょうしょううぼくやけんちゅうしょじろう）の二名が宰相に、尚書左丞（しょうしょさじょう）・尚書右丞（しょうしょううじょう）の二人が副宰相とされました。

南宋における参知政事

その後、北宋が滅亡して南宋になると、一時的に同中書門下平章事・参知政事が復活しました。最終的には左右丞相（さゆうじょうしょう）が宰相、参知政事が副宰相となりました。

元代における参知政事

元においては、中央官庁である中書省の長官である中書令、地方機関である行中書省（こうちゅうしょしょう）に参政が置かれました。後の明代に廃止されました。

まとめ

参知政事は、唐代から明代にかけて存在した官職であり、特に宋代において宰相を補佐する重要な役割を担いました。その地位や役割は時代によって変遷しましたが、常に政治の中枢に関わる重要な官職であったと言えるでしょう。

参考文献

「宋代官制序説」（宮崎市定、『宋史職官志索引』、東洋史研究会、1963年）、『宮崎市定全集』10に所収。
『中国歴代職官事典』（日中民族科学研究所、国書刊行会、1980年）

もう一度検索