張祐 (明)

張祐（ちょう ゆう）は、生年不詳ながらも1532年に没した明代の軍人です。字（あざな）は天祐といい、広州府を本貫としました。

幼い頃から学問を好み、文章を作る才能に長けていました。成長すると身長は8尺（約2.4メートル）に達し、その知識も常人を凌駕していました。弘治年間には、世襲により広州右衛指揮使の地位を継承しました。19歳という若さで両広総督の潘蕃に従い、南海県の禤元祖の乱を鎮圧する戦いで、先頭に立って功績を挙げました。

1507年（正徳2年）、張祐は都指揮僉事の代行に抜擢され、徳慶県と瀧水県の守備を担当しました。総督の林廷選に重用され、軍の中枢で大小様々な事柄について諮問されるようになりました。恵州府と潮州府の守備に当たった際には、反乱の首謀者である劉文安と李通宝の根拠地を直接攻撃し、これを鎮圧しました。その後、広西右参将に転じ、柳州府と慶遠府の守備を分担しました。総督の陳金が府江の反乱軍を討伐する際には、張祐は沈沙口への進軍を命じられ、見事に反乱軍を撃破しました。1518年（正徳13年）には、その功績が認められて俸禄が加増され、副総兵に抜擢されて広西に駐屯しました。その後、都督僉事の代行に昇進しました。

古田県の瑶族や僮族が反乱を起こした際、張祐は「先年の征討では、両江の現地兵が活躍しましたが、十分な褒賞が与えられていません。今こそ、手厚い賞賜を定めるべきです」と進言し、正徳帝に聞き入れられました。1520年（正徳15年）には、都指揮の沈希儀らを率いて臨桂県・灌陽県の瑶族を討伐し、500人以上を斬首しました。さらに、古田県の反乱軍を連破し、4700人を捕獲・斬首し、都督同知の代行に進みました。その後も、洛容県、肇慶府、平楽府における少数民族の反乱を鎮圧しました。

1522年（嘉靖元年）、母の死去により喪に服し、悲しみに暮れました。その後、病気を理由に帰休を願い出て、広州右衛に戻りました。

以前、上思州土目の黄鏐が反乱を起こした際、張祐は黄鏐の仲間である黄廷宝を金銭で買収し捕縛、献上しました。しかし、総督の張嵿は張祐の不正を疑い、悪党を手懐けて難を逃れようとしていると弾劾しました。1525年（嘉靖4年）、この事件が原因で張祐は逮捕され、徳慶の獄に繋がれてしまいました。張祐は何度も上書して冤罪を訴え、釈放されたものの、蟄居を余儀なくされました。

1527年（嘉靖6年）、田州で盧蘇と王受の乱が勃発すると、総督の姚鏌は張祐を軍に呼び戻し、賓客として厚遇しました。張祐は姚鏌を補佐しました。後に王守仁が姚鏌に代わって総督に就任すると、反乱軍を説得して帰順させるか、それとも討伐するかを張祐に諮問しました。張祐は「夷をもって夷を治め、兵を動員せずに鎮圧するのが良いでしょう」と回答しました。王守仁はこの意見を受け入れ、盧蘇と王受を帰順させました。王守仁は張祐に盧蘇と王受の勢力を分割して統治するよう命じました。王守仁は張祐を副総兵に推薦し、嘉靖帝もこれを認めました。張祐は封川県の盤古子の乱を鎮圧し、さらには広東会寧の盗賊である丘区長らを討伐し、1200人を斬首、その功績を大隆山に刻みました。

1532年（嘉靖11年）、楊春の趙林花の反乱軍が高州府を攻め落とした際、総督の陶諧は張祐に討伐を命じました。張祐は深く侵攻し、多くの反乱軍を捕獲・斬首しましたが、その最中に病に倒れ、軍中で息を引き取りました。

張祐はその生涯を通して、数々の反乱鎮圧に貢献し、明朝に忠義を尽くした武将でした。

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