張継

張継（ちょう けい）

張継は、唐代に生きた詩人であり、官僚、政治家としても名を残しています。生没年ははっきりとしていませんが、779年に亡くなったという説があります。字は懿孫（いそん）といい、官職にちなんで張祠部とも呼ばれていました。襄州襄陽県の出身です。

人物

753年（天宝12年）に進士に合格し、官僚としての道を歩み始めました。しかし、その後の安史の乱によって江南へと逃れることになり、越州（現在の浙江省紹興市）、杭州（現在の浙江省杭州市）、潤州（現在の江蘇省鎮江市）、蘇州（現在の江蘇省蘇州市）など、各地を旅しました。当初は節度使の幕僚として活躍し、後に塩鉄判官に任命されました。766年（大暦元年）頃には朝廷に入り、侍御史、検校祠部郎中といった役職を歴任しました。770年には洪州（現在の江西省南昌市）の地方官に転出し、その地で生涯を終えたとされています。

博識で議論を好む性格であったと伝えられており、政治にも明るく、公正な政治家として評価されていたようです。また、道士のような風貌であったとも言われています。

同じく唐代の詩人である皇甫冉（こうほぜん）とは幼馴染であり、劉長卿（りゅうちょうけい）とも親交があったとされています。

作品

張継の作品の中で最も有名なのが、漢詩「楓橋夜泊」です。この詩は、煬帝（ようだい）が築いた大運河を旅する途中の蘇州郊外で詠まれたもので、旅の愁いを繊細に表現しています。その美しい情景描写と情感豊かな表現から、古くから多くの人々に愛され、漢詩を代表する名作として知られています。

詩集としては『張祠部詩集』1巻が残されており、そこには47首の詩が収められています。

関連項目

寒山寺

参考文献

村上哲見『漢詩の名句・名吟』講談社＜講談社現代新書＞、1990年4月、ISBN 4-06-149026-5
前野直彬・石川忠久（編）『漢詩の解釈と鑑賞事典』旺文社、1979年3月
山口直樹『図説 漢詩の世界』河出書房新社＜ふくろうの本＞、2002年8月、ISBN 4-309-76022-8

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