寒山寺

寒山寺：詩と歴史が織りなす古刹

寒山寺は、中国江蘇省蘇州市に位置する臨済宗の仏教寺院です。その名は、寒山拾得の伝説、そして唐代の詩人、張継の「楓橋夜泊」によって広く知られています。

寒山寺の歴史

寒山寺の歴史は古く、南北朝時代の梁の時代（502年 - 519年）に「妙利普院塔院」として創建されたと伝えられています。唐代に入ると、風狂の僧、寒山がこの地に庵を結んだことから「寒山寺」と呼ばれるようになりました。

8世紀中頃には、詩人、張継が「楓橋夜泊」を詠み、この寺の名を不朽のものとしました。寒山寺は創建以来、数々の変遷を経験しています。元末の戦火で焼失したり、明代に再建されたものの再び火災に見舞われたりと、幾度となく苦難を乗り越えてきました。現在の建物は、清末に再建されたもので比較的新しいものですが、その歴史の重みは訪れる人々を魅了し続けています。

境内

境内に入ると、まず目に飛び込んでくるのは西側の黄色い照壁です。境内の中央には本堂である大雄宝殿があり、釈迦牟尼仏、阿難、迦葉の像が安置されています。周囲には鐘楼、鐘房、羅漢堂、碑廊などが配置され、東側には寒拾殿、東端には普明宝塔がそびえ立っています。

寒山拾得

寒山と拾得は、唐代の詩僧であり、脱俗的な人物として知られています。寒山は寒巌幽窟に住み、樺の皮を身につけていたと伝えられています。拾得は、天台山国清寺の豊干に拾われ養育されました。二人は寺の食事係として、残飯や野菜クズを糧とする生活を送っていましたが、仏教の哲理に通じており、奇行や詩作を通してその思想を表現しました。寒山は文殊菩薩、拾得は普賢菩薩の生まれ変わりとも言われ、多くの人々に敬愛されています。

楓橋夜泊

張継の「楓橋夜泊」は、都落ちした旅人が、蘇州西郊の楓橋で船中に泊まり、旅愁にかられ眠れぬまま寒山寺の鐘の音を聞いた情景を詠んだものです。この詩は、古くから多くの人々に愛され、寒山寺の名を世界に広めるきっかけとなりました。

寒山寺の鐘

寒山寺の鐘は、張継の詩にも詠まれた由緒あるものですが、幾度かの戦火で失われ、現在ある鐘は再鋳されたものです。除夜の鐘は有名で、その音を聞くと10歳若返ると言われています。大晦日には多くの観光客が訪れ、鐘の音を聞きながら新年を迎えるのが恒例となっています。

日本との関わり

寒山寺には、拾得が日本に渡り経を説いたという伝承が残っています。また、伊藤博文が寒山寺の鐘が日本に渡ったと信じ、新しい鐘を寄贈したというエピソードもあります。寒山寺は、日中友好の象徴としても重要な役割を果たしています。

寒山寺へのアクセス

• - 住所：蘇州市寒山寺弄24号
• - 交通手段：蘇州駅より車で20分

寒山寺は、中国の歴史と文化、そして日中友好の象徴として、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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