張角

張角と黄巾の乱

張角（ちょう かく、? - 184年）は、中国の道教において太平道の創始者として知られています。冀州鉅鹿郡出身で、彼の兄弟には張宝や張梁がいます。張角は黄老の教えを重んじて信者を集め、黄巾の乱という反乱を引き起こしました。

張角は自らを「大賢良師」と称し、信者を広く募っていました。彼のもとには、多くの人々が集まり、病を癒す符水などのちらつきで多くの信奉者を得ていきました。わずか10年ほどで、全国に数十万人の信者を持つまでになり、彼らを36の「方」に分けてそれぞれに渠帥を置くなど、組織を整えていきました。表向きは善良な教えで天下を教化することを目指していましたが、実際には内部で結託し、新しい時代を築こうとする野心を抱いていました。

184年、張角は「甲子」という標語を掲げ、洛陽の城門や地方の役所に白亜で書いたことから反乱の兆しをアピールしました。そして、人身御供を捧げて天を祭り、信者たちを率いて一斉に蜂起し、州郡の役所を焼き払ったり、長官を殺害したり、集落を略奪するなどの行動に出ました。この時、張角は自らを天公将軍と称しました。

しかし、同年の夏以降、後漢朝廷の軍が反撃に出て、張角の勢力は急速に衰えていきました。皇甫嵩や朱儁といった将軍たちの活躍により、乱は徐々に収束していきました。張角は広宗に拠って抵抗しましたが、10月には広宗が陥落し、残念ながらこの時点で張角は既に病死していました。そのため、討伐軍は彼の遺体を棺から取り出し、刑罰として斬首後に首を木に吊るしました。

この反乱の後も、黄巾という名を掲げた蜂起は続き、北宮伯玉や韓遂、張燕らが立ち上がるなど、混乱は続きました。後漢朝廷はこれらの反乱を抑えきれず、この事件は後漢の権威が地に堕ちるきっかけとなりました。結果的に、黄巾軍を傘下に加えた曹操が果たす役割や、後の呉と蜀に分かれる流れを生み出し、「三国時代」の幕開けとなったのです。

三国志演義における張角

小説『三国志演義』では、張角及び彼の兄弟たちが「不第秀才」として描かれています。ある日、彼らは山に薬草を採りに行く途中、南華老仙という人物と出会い、「太平要術」の教えを受け取りました。彼らは「天に代わりて宣化し、広く世人を救う」という使命を与えられたとされ、もしこの教えを悪用すれば必ず報いを受けるとの警告も受けたと言われています。この縁により、風雨を操る能力を身につけることになります。

疫病が流行した際、張角は符水を用いて病を癒し、再び大賢良師として名を馳せることになります。しかし、結局彼は史実通りに黄巾の乱を引き起こし、その最中に自己を失う運命を辿っていくことになります。張角の登場は『三国志演義』の中で重要な役割を果たしており、彼の行動は物語全体にも深い影響を与えています。

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