張鼓峰事件

張鼓峰事件（ちょうこほうじけん）

張鼓峰事件とは、1938年7月29日から8月11日までの間に、満洲国の琿春市に存在する張鼓峰にて発生した日本とソビエト連邦との国境に関する紛争です。この事件は、実質的に日本軍とソ連軍の戦闘に他なりません。ソ連側では、この事件をハサン湖事件と呼んでいます。

背景

20世紀前半、日本とソビエト連邦は中国東北部、特に満洲において緊張した関係が続いていました。この地域には満洲と極東ロシアを結ぶ東[[清鉄道]]があり、その支線として南[[満洲鉄道]]が存在しました。南[[満洲鉄道]]は歴史的に多くの紛争の舞台ともなり、日露戦争や日中戦争の原因の一つでありました。1930年代には、中ソ紛争や満洲事変といった事件が続き、国境を巡る双方の不信感が高まっていました。

張鼓峰は、満洲国の領土が大日本帝国朝鮮とソ連領域に食い込む形で存在しており、その国境線に関して日本とソ連の間には明確な認識の相違がありました。ソ連側は、清とロシア帝国の間で結ばれた北京条約に基づく見解を持ち、張鼓峰の頂上が国境線だと考えていました。一方、日本側はこの地域が満洲の領域であり、ソ連側の国境線に関する解釈を否定していました。このため、朝鮮軍第19師団は国境地帯に兵力を置かず、長年スパイ戦が続いていたのです。

戦闘の経過

1938年7月になると、張鼓峰頂上にソ連軍が進軍し、その数を次第に増強していきました。この動きの背後には、ソ連の国境警備隊が名誉挽回を狙っていたという意見もあります。日本側の関東軍は、7月6日に傍受した電文からこの状況を把握し、警戒を強めることになります。

7月12日、ソ連軍がハサン湖の近くの高地に築城を始め、日本側の守備隊がその行動を看過しているうちに、ソ連軍は不法に日本側の兵士を殺害しました。このことがきっかけとなり、日本の関東軍は朝鮮軍に対して警戒を強化させ、対抗措置を求めることになります。

交渉は行われましたが、ソ連側は平行線を辿り、結局は交渉は決裂。戦闘は29日に始まり、翌日には両軍が激しく衝突します。日本側は反撃を試みますが、ソ連軍の攻撃に守備隊は損耗を強いられる状況が相次ぎました。8月6日には、ソ連が大部隊を派遣し総攻撃を開始、一連の戦闘が続きました。

停戦

そして、8月10日に日本側から停戦の申し入れが行われ、翌日モスクワにおいて停戦が合意され、交戦状態は終了しました。双方の公式な損害は多大なもので、日本側は戦死526名、負傷914名を数えました。

この事件は、日露戦争後、日本が欧米列強との戦闘で直面した初めての重要な経験であり、結果として日本の軍事戦略や機械化の進展に影響を与えることとなります。また、ブリュヘルをはじめとするソ連側の兵士も多くなり、後に重要な教訓となりました。

結果と影響

張鼓峰事件は、日本側にとっては初めて経験する欧米についての本格的な軍事対決でした。また、双方にとって大きな損失を伴う経験となり、日本はその後の戦争における戦略を改定する必要に迫られました。ブリュヘルは国境紛争の拡大を警戒し、最終的には責任を被ることとなり、また日本側の指揮官たちも後の歴史に名を刻むこととなりました。このように、張鼓峰事件は日ソ間の長い国境的緊張の一部として記憶されることになったのです。

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