強制改宗

強制改宗について

強制改宗（きょうせいかいしゅう）は、暴力や脅迫を用いて人々の信仰を強制的に変更させる行為を指します。これは他の宗教または無宗教への改宗を強いるものであり、じゃまな信仰を捨てさせるためになされることが多いものです。この行為の結果、生前に改宗を果たせずに殉教に至る事例も数多く存在します。また、強制改宗は歴史的に世界中で行われてきましたが、その影響は被害者にとって非常に屈辱的であり、多くの宗教的マイノリティが反乱を引き起こす要因ともなりました。

キリスト教徒による強制改宗

歴史的に、キリスト教徒は主にシチリア島、イベリア半島、バルカン半島などでイスラム教徒やユダヤ教徒に対してキリスト教への改宗を強制しました。十字軍の遠征中、ユダヤ人に対しても改宗が使われました。さらに、スペインのレコンキスタ後にはイスラム教徒がカトリックに改宗させられる事例が見られ、「モリスコ」と呼ばれる彼らは多くが自身の信仰を隠し持っていたため、異端審問の対象となり、本当の棄教を迫られることとなります。また、異なるキリスト教の宗派同士でも強制改宗が行われ、アルビジョワ十字軍がその代表例です。こうした武力による改宗の試みは、次第に人権思想の高まりと共に減少していきましたが、ブリテン諸島における反カトリック政策など、特定の宗教信者に対する権利制限を通じた強制改宗の試みは近代に至るまで続きました。

イスラム教徒による強制改宗

イスラム教の歴史でも、強制改宗は一定程度行われています。特に中東におけるキリスト教の衰退は、この強制改宗の結果とされています。中には表面上イスラム教に改宗したものの、実際には信仰を偽装した者も多く、その中にはユダヤ教徒も含まれていました。現代の事例では、パキスタンで貧しいキリスト教徒の少女が毎年少なくとも700人誘拐され、イスラム教への改宗とムスリム男性との結婚を強いられているという報告があるほか、エジプトのコプト教徒に対しても同様の強制が行われています。また、2006年にはニュージーランド人とアメリカ人のジャーナリストがガザで誘拐され、イスラム教への改宗を銃で脅迫される事件が発生しました。

日本における強制改宗

日本においても、強制改宗は戦国時代から江戸時代、さらには明治時代にかけて実施されました。特にキリシタン大名が領民にキリスト教への改宗を強制したほか、キリスト教徒に対する強制も行われました。初めは緩やかな取締りが行われていたものの、キリシタンが集まり大坂の陣や島原の乱を引き起こしたことを受け、江戸幕府は「死か改宗か」という選択を迫り、強制的な改宗が行われました。それに応じたキリスト教徒たちは多くが信仰を捨てさせられ、棄教を拒否した者たちは死刑にされる結果となりました。しかし、一部の隠れキリシタンたちは偽装棄教を用いて、1874年にキリスト教が解禁されるまで信仰を守り続けました。

さらに日本における強制改宗はキリスト教だけに限りません。古来の宗教や新たに現れた宗教に対しても圧迫が行われてきました。特に仏教が伝来した際にも新たな信仰であるとして弾圧があり、日蓮宗の中の不受不施派に対しても強制的な改宗が行われました。このように、日本国内でも信仰の自由がしばしば脅かされてきた歴史があります。

関連項目

• - 隠し念仏
• - 隠れキリシタン
• - 不受不施派
• - 五榜の掲示
• - 日本国憲法第19条
• - 日本国憲法第20条

もう一度検索