LST-1級戦車揚陸艦

LST-1級戦車揚陸艦

LST-1級戦車揚陸艦は、アメリカ合衆国で建造された揚陸艦の一種で、1940年代における第二次世界大戦の戦局において重要な役割を果たしました。この艦級は、合計で1,052隻が製造され、アメリカ海軍および連合国の海軍によって運用されました。特に戦車の揚陸が可能であり、その機能から連合国の上陸作戦において欠かせない存在でした。

来歴

イギリスでの創案

1940年、イギリスのチャーチル首相は大陸反攻を視野に入れ、戦車を部隊単位で輸送できる艦艇の開発を急がせました。既存のフェリーを改装する試みは好ましくない結果に終わり、そこで改めて戦車揚陸艇（TLC）の開発が着手されましたが、その航洋性には限界がありました。これを受けて、チャーチル首相はより高い輸送能力を持つ艦艇の開発に目を向けました。

1940年のメネス作戦の失敗から、60両の戦車を運ぶ大型艦の設計が必要とされるようになり、ウィネット計画として知られる案が採択されました。これにより、最初はイギリス国内での建造が計画されたものの、最終的にはアメリカでの大量生産が決定されました。

アメリカでの実用化

1941年には、ギブス＆コックス社が設計に関与し、アメリカ海軍とイギリス軍の連携が進みました。特に、アメリカでは大西洋横断能力を兼ね備えた新たな艦艇の構想が生まれ、LST(1)と呼ばれる艦が設計されました。本艦級は1942年に初めて発注され、最終的には数百隻が建造されることになりました。

設計と機能

「LST」とはLanding Ship Tankの略であり、本艦は着岸能力を持ち、戦車やその他の車両を揚陸することを主眼に設計されています。艦首には観音開きのドアと道板があり、擱座着岸を可能にしています。船体は深く吃水し、特殊な抵抗形状を持つため遅い速度での航行を余儀なくされています。

輸送能力

艦内には2層分の車両甲板があり、最大で24両のM24軽戦車や27両のトラックを搭載することができます。また、後期型では車両の搭載能力や造水能力が向上しました。これにより、迅速な輸送揚陸が実現され、連合国の戦局を有利に進めることに寄与しました。

運用史

LST-1級艦の初艦であるLST-1は1942年に竣工し、以降は広範な戦domainで運用されました。特に、ソロモン諸島の戦いをはじめ、ヨーロッパや太平洋地域において数々の上陸作戦に参加しました。戦後も、友好国に供与されるなど、その運用は長期にわたっています。

日本での運用

降伏後の日本

日本においては、連合国軍による占領下で86隻が復員輸送のために貸与されました。これらは武装を解除され、日本人乗組員によって運航されました。復員後も多くの艦が運航を続け、特に朝鮮戦争の際には重要な輸送任務をこなしました。

海上自衛隊での運用

海上自衛隊では、アメリカから供給された艦艇の一部が再就役しました。これらの艦は災害派遣や人道支援にも参加し、活発に運用されました。

結論

LST-1級戦車揚陸艦は、その設計と運用の柔軟性から、多くの歴史的な舞台で重要な役割を果たしました。戦争期間中から平和の時代を経て、国際的な軍事協力にも寄与したこの艦級は、今でもその意義が評価されています。

もう一度検索