彌次喜多 名君初上り

『彌次喜多 名君初上り』について

『彌次喜多 名君初上り』（やじきた めいくんはつのぼり）は、1940年に公開された日本のオペレッタ時代劇映画です。この作品は日活京都撮影所によって製作され、日活が配給を行った作品群の一つとして位置づけられています。監督には当時31歳のマキノ正博が起用されており、後に巨匠として知られるマキノ雅弘の戦前のトーキー作品の代表作の一つとされています。

製作の背景

映画『彌次喜多 名君初上り』は、1939年の年末に急遽製作された『鴛鴦歌合戦』の影響を受けて企画されました。この『鴛鴦歌合戦』は、主演の片岡千恵蔵が急病で休養を余儀なくされたため、代替作品として急いで制作されたものでした。本作では片岡の出番が限られているものの、その背景には回復を待って改めて製作しているという事情がありました。これにより、撮影時間をわずか2時間に収めるなど、非常に短期間での製作が行われました。しかしながら、本作は一連の急な製作スケジュールに追われることなく、1940年12月29日の仕事納めまでに完成させる必要がありました。

脚本に関する信頼性

本作の原作および脚本には山上伊太郎がクレジットされていますが、実際には彼の原案を元に別の人物が脚色を行ったとされています。このことを知ったマキノ監督は少なからず失望したと後に述べています。こうした脚本に関する誤解は、映画製作の過程でも珍しいことではなく、時折制作スタッフの間でも混乱を招く要因となります。

現在の評価

現在では、『鴛鴦歌合戦』の方が広く知られており、その影響から東京国立近代美術館フィルムセンターに収蔵されるまで至りました。一方で『彌次喜多 名君初上り』は、同センターに所蔵されておらず、上映用プリントといった現存するものが確認されていない状況です。したがって、この作品の知名度は依然として低いままとなっています。

作品データ

以下は、作品の主なスタッフ及びデータです。

• - 監督: マキノ正博
• - 原作・脚本: 山上伊太郎
• - 音楽: 大久保徳二郎
• - 撮影: 石本秀雄
• - 編集: 宮本信夫
• - 製作: 日活京都撮影所
• - 上映時間: 87分（9巻 / 2379メートル）
• - フォーマット: 白黒映画 - スタンダードサイズ（1.37:1） - モノラル録音
• - 公開日: 1940年1月13日
• - 配給: 日活
• - 初回興行: 浅草公園六区・富士館

まとめ

『彌次喜多 名君初上り』は、日本の映画史において重要な位置づけを持つ作品でありながらも、現在ではあまり知られていない存在となっています。映画の製作や配信の過程で、多くの背景事情や人間関係が影響を及ぼすことがあることを、この作品を通じて知ることができます。

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