彩尊光

彩尊光：12年間の土俵人生――努力と葛藤、そして感謝の軌跡

彩尊光(いろどり たかてる)は、1992年3月10日、埼玉県越谷市生まれの元大[[相撲]]力士です。最高位は西十両11枚目。本名は松本豊(まつもと ゆたか)。身長181.1cm、体重137.1kg、血液型はA型。水色の締め込みを使用していました。

幼少期から関取昇進まで

幼少期は、後に関脇となる阿炎(あび)と同じ道場で相撲に親しみました。2007年3月場所、15歳で初土俵を踏みます。同期には土佐豊や琴恵光など、後に活躍する力士もいました。幕下生活が長く続いた後、2015年7月場所、心機一転、四股名を「彩」に改名しました。「彩の国」埼玉への想いが込められた、力士人生の転機となる出来事でした。

幕下時代は着実に番付を上げ、2018年9月場所には西幕下3枚目まで昇進。そして2019年3月場所、自己最高位の東幕下筆頭で5勝2敗の好成績を残し、念願の十両昇進を果たしました。錣山(しころやま)部屋では中卒からの関取昇進は初であり、師匠も大きな喜びを表現しました。12年という歳月を費やした、努力の結晶と言えるでしょう。しかし、初場所で6勝9敗と負け越し、幕下に陥落。その後も十両と幕下を行き来する厳しい道のりが続きました。

十両での活躍と怪我

十両に復帰した場所では、唯一の勝ち越しを記録するなど、輝きを見せました。しかし、2020年1月場所、怪我により途中休場。その後も怪我に苦しみ、三段目への陥落も経験しました。それでも持ち前の粘り強さで幕下復帰を果たしましたが、再び怪我に悩まされ、2022年5月場所千秋楽、30歳で現役引退を発表しました。両膝の怪我による稽古の困難が、引退の大きな理由でした。引退会見では、稽古で胸を貸してくれた立田川親方への感謝の言葉を述べました。立田川親方は、自身の怪我により彩の関取昇進が遅れたことを悔やんでいました。6月18日には断髪式が行われ、力士人生に幕を閉じました。

人間性とエピソード

彩は、好物がステーキやハンバーガーなど、大食漢として知られていました。また、部屋のムードメーカーとして、周囲から慕われていました。相撲スタイルは突っ張りを主体とした突き押し型でしたが、精神面が課題であり、師匠からは座禅にも連れて行かれたと言われています。

弟弟子の阿炎とは、互いに切磋琢磨する関係でした。阿炎が一時、モチベーションを失っていた時期には、彩から厳しい言葉をかけられ、奮起するきっかけとなりました。引退の際には、阿炎へのエールとして、大関、横綱への昇進を願いました。

また、彩は「稽古場大関」と評されるほど、稽古では強い力士でした。本場所では緊張から実力を発揮できないこともありましたが、師匠は徹底した稽古で克服に導きました。

母は彩の力士人生を常に支え、新序ノ口場所での勝ち越しを喜び、新十両昇進の際には涙を流して喜んでいました。しかし、2021年11月、母は脳幹出血のため51歳で他界。彩は、母との最期の面会が2019年3月だったことを悔やみました。母の死後、師匠は休場を勧めたものの、彩は母への感謝の思いを込めて場所に出場し、勝ち越しました。

彩は、師匠である錣山親方の臨終にも立ち会いました。錣山親方の安らかな表情を目に焼き付け、師弟の深い絆を感じさせました。

通算成績

通算成績：338勝283敗34休（90場所）
十両成績：21勝31敗8休（4場所）

彩尊光という力士

彩尊光は、恵まれた才能を持つ阿炎とは対照的に、努力と粘り強さで土俵を駆け抜けた力士でした。怪我に苦しみながらも、持ち前の明るさと人望で周囲を魅了し、12年間のプロ生活を送りました。彼の力士人生は、多くのファンに感動と勇気を与え続けていると言えるでしょう。

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