影狩り (映画)

映画『影狩り』について

『影狩り』は1972年6月10日に公開された日本のアクション時代劇映画です。この作品は、さいとう・たかをの劇画を基に舛田利雄が監督を務めています。主なキャストには、石原裕次郎、丹波哲郎、内田良平などが名を連ねており、特に石原は、この映画の中心的な役割を担いました。

制作の背景

原作者のさいとう・たかをは、映画化に際して主人公・室戸十兵衛役として誰が適しているかを慎重に考えていました。ある日、病み上がりの石原裕次郎を目にした彼は、石原の持つ男らしさや悲哀を感じ取り、暗い過去を持つ十兵衛の役を彼に演じてもらうべきだと確信しました。石原もすぐに原作を読み、出演を承諾したとのことです。

しかし、当初月光役には丹波哲郎が予定されていましたが、彼はスケジュールの都合により降板し、成田三樹夫がその役を演じました。また、元々田沼意次役には石原慎太郎がキャスティングされていましたが、政治活動が忙しくなり、丹波が彼の役を引き継ぐこととなります。さいとうは、最終的に石原、内田、成田という3人のキャスティングについて非常に満足していたと述べています。

成功と続編

石原は、この映画が成功したことで続編の制作も視野に入れていました。特に男性観客からの支持が高まり、興行成績も良好であったため、続編の製作はすぐに決まりました。

あらすじ

物語は、徳川幕府の権力が衰退し、経済的な困難さが増す中で進行します。老中の田沼意次は、改易された外様大名たちから財政を回復すべく、隠密を送り出します。一方、影により改易に追い込まれた浪人たち、室戸十兵衛、日光、月光の3人は、「影狩り」として雇われ、田沼の隠密たちと各地で対峙します。田沼が狙うのは金山開発を進める出石藩で、その藩も影狩りを雇い、物語は緊迫した戦闘へと展開していきます。

配役

• - 室戸十兵衛：石原裕次郎
• - 千登世：浅丘ルリ子
• - 牧野図書：辰巳柳太郎
• - 田沼意次：丹波哲郎
• - 日光：内田良平
• - 小雪：本田みちこ
• - 月光：成田三樹夫

評価と反響

公開後、観客からの反響は良好でしたが、あらすじが他の作品と似ているとの指摘も受けました。特に、若山富三郎はこの映画を時代劇としては受け入れがたいとも評しており、石原の殺陣の評価は必ずしも高くありませんでした。しかし、成田の演技は高く評価されています。

また、撮影現場には後に『太陽にほえろ!』を手掛けるプロデューサーたちが訪れ、石原に出演交渉を行う場面もありました。監督の舛田も、石原の経済的な事情を考え、新たな作品への出演を勧めたといいます。

まとめ

『影狩り』は、時代劇の新たなスタイルを模索する中で生まれた作品であり、石原裕次郎の魅力と壮大な物語が組み合わさった映画として記憶されています。この作品がきっかけで続編制作がされるなど、彼の俳優人生においても重要な位置を占める作品となりました。

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