役場救急とは？意味をやさしく解説 - サードペディア百科事典

役場救急とは

役場救急とは、消防本部が設置されていない地方公共団体において、消防吏員の身分を持たない地方公共団体の職員が行う救急搬送業務のことです。

概要

消防本部は、消防・救急業務を行うための常備消防機関として、地方公共団体が単独または組合を設立して運営しています。しかし、人口や財政状況、地理的な要因から消防本部を設置できない、あるいは組合に参加していない市町村が存在します。これらの市町村は「消防非常備市町村」と呼ばれ、2019年現在、全国に29の地方公共団体（0市7町22村）があります。これは全自治体の1.7%に相当します。

常備消防が置かれている地域でも、消防署から遠く離れた地区では、支所などに患者搬送車が配備され、消防本部の救急車に引き継ぐまでの搬送を行う場合があります。また、山間僻地の消防署では、救急車の数が限られているため、近隣からの応援も難しいことがあります。そのため、消防常備化以前のように、村の診療所の患者搬送車を村職員が運用し、消防分署の救急車が出動中の際に、他の救急要請に対応する例もあります。

消防組織法と役場救急

消防組織法第9条では、「地方公共団体は消防本部・消防署・消防団の全部または一部を設置しなければならない」と定められています。そのため、消防非常備町村では、消防団のみを保有し、消防業務を行っています。救急業務に関しては、町村役場が担当する「役場救急」（19町村）や、町村の診療所職員が担当する「診療所救急」（5町村）が行われています。

役場救急の実態

総務省消防庁の調査（2015年）によると、役場救急を実施していた31町村のうち、ほとんどが役場職員による対応で、民間委託はごくわずかです。民間委託の例としては、行政職の職員が対応できない時間帯に、警備会社職員が医師・看護師とともに対応するケースや、タクシー会社に搬送を委託するケースがあります。

役場救急では、救急救命士の資格がなくても従事できますが、一般的な医療行為は行えません。ただし、救急救命士の資格を持つ職員が同乗すれば、通常の救急業務と同等の医療行為が可能になります。

民間委託の事例

役場救急の中には、民間企業に委託する例もあります。例えば、日本救急システムという企業は、救急救命士が町村役場の救急車に同乗し、救急救命事業を行っています。

まとめ

役場救急は、消防本部が設置されていない地域において、住民の命を守る重要な役割を担っています。しかし、救急救命士の不在や医療行為の制限など、課題も抱えています。これらの課題を解決するために、民間委託の活用や、救急救命士の育成などが求められています。

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