後期高齢者医療制度廃止法案

後期高齢者医療制度廃止法案について

後期高齢者医療制度廃止法案は、2008年に導入された後期高齢者医療制度を終了させるべく提案された法律案です。正式名称は「後期高齢者医療制度の廃止等及び医療に係る高齢者の負担の軽減等のために緊急に講ずべき措置に関する法律案」となっています。この法案は、後期高齢者医療制度に対する世論の批判を受けて、民主党などの野党が推進する形で提出されました。

背景と経緯

後期高齢者医療制度は、75歳以上の高齢者を対象にした医療保険制度であり、2008年4月に施行されました。この制度は、年齢に基づく差別的な保険料負担が問題視され、多くの批判を集めました。その一環として、2009年の山口2区の衆議院補欠選挙において、民主党候補がこの制度を争点にして自民党候補に勝利したことが、廃止法案提出の一因となりました。

同年5月23日に、日本の主要野党である民主・共産・社民・国民新の4党がこの法案を参議院に提出しました。法案の主な内容としては、新たに被扶養者に対する保険料の負担を求めず、さらに高齢者に対する国民健康保険料の年金天引きを、なるべく早く廃止することが含まれていました。また、70歳から74歳の医療費自己負担を当初の2割から1割に据え置くことも端的に示されました。

その後、6月3日には厚生労働委員会での実質的な審議が開始され、6月5日には自民・公明両党が提案した不信任動議が否決されるも、野党の賛成で法案は可決されました。さらに、6月6日には参議院本会議においても野党の支援により可決され、法案は衆議院に送付されたものの、継続審議となり、最終的には公共の場における衆議院解散を受けて廃案となりました。

反対意見とその背景

2010年12月に入って、民主党内では同制度の廃止が1年以上先送りされる見込みが示されました。主に、2011年の統一地方選挙への影響を懸念する声が強まっていたからです。また、この法案に対して民主党の直嶋正行政調会長は、75歳以上の高齢者を一律に別の保険制度に強制的に加入させる点を批判しています。彼は、年齢で明確に区別することに合理的な理由が無いと指摘しました。

一方で、与党は「代替案を示さずに廃止の主張だけをするのは無責任」であるとして法案に反対する立場を取りました。このように、後期高齢者医療制度の廃止に関しては、政治的な意見が分かれ、社会的な議論が続いています。

結論と今後の展望

現在、日本の高齢者医療制度における課題は多方面から指摘されており、今後の政策論議においては、後期高齢者医療制度の見直しは喫緊の問題とされています。法律案そのものは廃案となりましたが、高齢者の医療負担軽減という視点は今後も重要なテーマになり続けるでしょう。

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