後藤・安田記念東京都市研究所

後藤・安田記念東京都市研究所について

公益財団法人後藤・安田記念東京都市研究所（ごとう・やすだきねんとうきょうとしけんきゅうじょ）は、東京都千代田区の日比谷公園内に位置する地方自治および都市問題に関する専門の研究機関です。2012年の公益法人制度改革によって、旧東京市政調査会から名称を変更し、新たに公益財団法人として再出発しました。この組織は、1920年に設立の意図が打ち出された東京市政調査会をルーツとしており、設立当初から今日に至るまで、地域の自治や都市の発展に寄与するための調査研究を行っています。

設立の背景と歴史

「後藤・安田」という名称は、設立に貢献した後藤新平と安田善次郎に由来しています。1920年12月、東京市長に就任間近の後藤は、講演の中で自主独立した市政の調査機関の必要性を訴え、ニューヨーク市政調査会を模範にする構想を発表しました。実業家の安田善次郎はその理念に共感し、資金を提供する意向を示しました。しかし、安田は1921年に暗殺されるも、後藤の尽力により、1922年に東京市政調査会が設立されました。1929年には、安田家からの寄付により、市政会館が完成し、本研究所の拠点となりました。

調査研究の主なテーマ

本研究所は、地方自治や都市問題に関する多岐にわたる研究を行っています。戦前には、関東大震災からの復興活動、東京市会の浄化、特別市制や東京都制に関する提言などを中心に調査研究が行われました。戦後は、公害問題や環境問題、中央と地方の行政に関連する課題に焦点を当て、幅広い研究を進めています。1925年からは、調査結果や地域問題に関する情報を発信するための月刊誌『都市問題』を発行し、研究内容を公表しています。

施設と運営

後藤・安田記念東京都市研究所は、図書館を併設しているため、市民や研究者が関連する資料を自由に利用できます。この図書館は、都市問題や地方自治に関連する歴史的資料を収集し、調査研究事業に寄与するとともに、一般市民にも公開されています。また、歴史的な市政会館は保全されており、一部は賃貸オフィスビルとして運営され、財政基盤を支える役割も果たしています。

組織構成

研究所の組織は、研究部と総務部、市政専門図書館の3つから構成されています。研究部では、調査研究や出版編集業務が中心に行われ、この機関が持つ知識の発信と地域への貢献を目指しています。常勤役員としては、小早川光郎理事長と西村清司総務担当常務理事がいます。

現在の取り組み

2012年4月からは公益財団法人として新たなスタートを切った後藤・安田記念東京都市研究所は、従来の活動を継続しつつ、現代の都市問題に対応した研究を進めています。特に、環境問題や地域社会の課題に取り組むことで、より地域に根ざした活動が求められています。さらに、国際的な視点からも日本の地方自治や都政の強化に貢献するための研究を展開しています。

このように、後藤・安田記念東京都市研究所は、長い歴史と豊かな経験を活かしながら、現代の都市に求められる問題解決のために日々尽力しています。

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