後藤拓也

後藤 拓也

後藤 拓也（ごとう たくや）氏は、1974年3月に福岡県北九州市に生まれた日本の地理学者です。現在、広島大学人文学部において准教授として教鞭を執りつつ、教育と研究に邁進しています。専門は人文地理学、とりわけ農業地理学を深く探求しています。

経歴

後藤氏の学術的な歩みは、1992年3月に広島県立安芸府中高等学校を卒業したことから始まります。大学は広島大学に進学し、1997年3月に同大学教育学部教科教育学科の社会科教育学専修（地理）を卒業。さらに専門性を高めるため大学院へ進み、2003年3月には広島大学大学院文学研究科博士課程（地理学専攻）を修了し、博士号（文学）を取得しています。

大学院在学中の1999年4月から2002年3月にかけては、日本学術振興会の特別研究員（DC1）として、広島大学を拠点に研究活動に取り組みました。博士課程修了後も研究者としてのキャリアを続け、2004年4月から2007年3月まで九州大学において日本学術振興会の特別研究員（PD）を務めました。その後、2007年4月から2008年3月までの期間は、九州大学大学院人文科学研究院の専門研究員として研究に従事しました。

教育・研究機関での職務は、2008年4月に高知大学人文学部准教授に就任したことから本格的に開始されました。2016年4月には、同学部の改組により、高知大学人文社会科学部准教授となりました。そして、2018年4月からは、出身大学でもある広島大学に戻り、人文学部の准教授として現在に至ります。地方大学での多様な経験は、その後の研究教育活動の基盤となっています。

研究活動

後藤氏の研究は、人文地理学の中でも特に農業地理学に重点が置かれています。現代社会における農業は、生産から加工、流通、消費に至るまで、広範な産業構造を持つアグリビジネスとして展開されています。後藤氏の主要な研究テーマは、まさにこの「アグリビジネスの地理学的研究」です。農産物の生産地域や流通ネットワーク、企業の農業参入、食料システムのグローバル化などが、地域社会の空間構造や人々の生活にどのような影響を与えるのかを、地理学の独自の視点から分析しています。複雑化・多様化する現代農業の地理的側面を解明することは、食料安全保障や持続可能な地域開発といった現代的な課題に対する理解を深める上で極めて重要であり、後藤氏の研究は社会的な意義も大きいと言えます。

主な業績

後藤氏の研究成果は、国内外の学術誌での論文発表に加え、書籍としても公刊されています。

単著

『アグリビジネスの地理学』（古今書院、2013年）

本書は、後藤氏の研究を集大成した単著であり、アグリビジネスという現代農業の構造と地理的展開について、体系的に論じた専門書です。アグリビジネスに関心を持つ研究者や学生にとって必読の文献となっています。

共著

『世界地誌シリーズ5 インド』（朝倉書店、2013年）
この書籍では、巨大な多様性を持つインドの地理について解説されており、後藤氏はその一部であるコラム4を担当しています。特定のテーマに焦点を当てた解説を加えています。

『人文地理学』（ミネルヴァ書房、2009年）
人文地理学の基礎を学ぶための概説書として広く利用されている本書において、後藤氏は第4章を執筆しています。専門分野の知見を、人文地理学を初めて学ぶ読者にも分かりやすく解説しています。

これらの書籍に加え、多くの学術論文や学会報告などを通じて、継続的に研究成果を発表しています。

所属学会

後藤氏は、研究分野の発展と情報交換のため、以下の様々な地理学関連の学会に所属し、積極的に活動しています。

日本地理学会
人文地理学会
地理科学学会
経済地理学会
日本地域経済学会
* 日本地理教育学会

複数の学会に所属していることは、後藤氏の研究が幅広い視点を持ち、関連分野との交流を重視していることを示しています。

後藤拓也氏は、農業地理学、特にアグリビジネス研究における日本の代表的な研究者の一人として、教育・研究活動を通じて社会に貢献しています。広島大学にて、次世代の研究者育成にも力を注ぎながら、現代社会が直面する農業・食料問題の解明に向けた探求を続けています。

（注：本記述は公開されている情報に基づいています。最新の情報や詳細については、広島大学の公式情報等をご確認ください。）

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