後藤野飛行場

後藤野飛行場の歴史と役割

後藤野飛行場（ごとうのひこうじょう）は、太平洋戦争期間中に岩手県に設立された、日本陸軍の隠された飛行場として知られています。この飛行場は、当時の戦局において重要な拠点となりました。最初は1937年（昭和12年）の日中戦争の影響で、陸軍飛行場の誘致運動が盛んになり、岩手県内に複数の自治体が競い合って建設を整えました。

その中でも、藤根村にあたる地域が目を引きました。藤根村は、周囲の13町村と連携し、飛行場用地を献納する準備を進めました。その結果、陸軍は藤根村後藤野に飛行場を設けることを決定したのが1937年11月のことです。

工事は1938年（昭和13年）に開始され、主に地元の中学生を動員して行われました。そして、10月31日に飛行場が完成し、翌月には竣工式が挙げられました。この飛行場は、操縦者の訓練に特化した場所として活用されました。

戦局の変化と飛行場の役割の変遷

しかし、その後の戦争の進行に伴い、飛行場の役割も変容しました。1943年（昭和18年）には、特別操縦見習士官の教育訓練を行う場として利用されるようになりました。そして1944年には第九十五飛行大隊がここに移転してきました。

さらに、1945年には特攻隊の出陣式が行われ、この時期も特攻機が飛行場を利用しました。7月には神鷲第二二五隊が配置され、特攻機が出発したものの、エンジンの不調により一機は戻ることになりました。残りの二機も目標を見つけられず帰還の途中で、最終的には不時着を余儀なくされたため、操縦者が命を失う悲劇が起きたのです。

終戦とその後の影響

後藤野飛行場は、1945年の8月に空襲を受け、その後まもなくして終戦を迎えました。終戦後の9月から10月にかけて、米軍がこの飛行場の残骸を破壊し、形跡を消していきました。

その後、飛行場跡地では住民たちが開拓を始め、1954年には保安隊（現在の自衛隊）が誘致される計画もありましたが、住民の反対運動に遭い、実現には至りませんでした。

現在は、その跡地近くに工業団地が設立され、かつての飛行場の面影は失われつつありますが、後藤野飛行場が果たした役割は地域の歴史に深く刻まれています。地域住民の努力と、戦争の影響を賜ったこの地の歴史は、後世に伝えられるべき重要な物語として残ることでしょう。

もう一度検索