徐善述

徐善述（じょ ぜんじゅつ）

徐善述（1353年 - 1419年）は、明代に活躍した官僚であり、字を好古と称しました。浙江省台州天台県を本貫とする人物です。その生涯は、明朝の初期における官僚としての活躍と、晩年の不遇に彩られています。

生涯

徐善述は、洪武帝の時代に施行された歳貢法という制度によって、その才能を認められ、太学へと進みました。歳貢法とは、地方の有力者が一定の貢物を納めることで、中央の官僚養成機関である太学への入学資格を得られる制度です。徐善述は、この制度を利用して太学に入り、学問に励みました。その後、桂陽州の学正に任じられ、地方の教育に携わることになりました。

永楽2年（1404年）の4月には、徐善述は国子博士から左春坊左司直郎へと抜擢され、その才能を高く評価されました。左春坊は皇太子の教育を担当する部署であり、そこで左司直郎という役職に就いたことは、彼が皇太子朱高熾から非常に信頼されていたことを示しています。実際、皇太子は徐善述のことを「先生」と呼び、その教えを深く尊重していました。

さらに、永楽8年（1410年）の12月には、左春坊左賛善へと昇進し、皇太子の側近としての地位をさらに強固なものとしました。この間、徐善述は皇太子の教育に尽力し、その人格形成に大きく貢献したと考えられています。

しかし、その後の永楽17年（1419年）10月、徐善述は罪に問われ、失意のうちにこの世を去りました。享年67歳でした。どのような罪を犯したのかは具体的には記録されていませんが、官僚としてのキャリアを終えるにあたって、何らかの過ちがあったことは否めません。

徐善述の死後、洪熙元年（1425年）には、太子少師の位が追贈されました。これは、彼が皇太子の教育に大きく貢献した功績が認められた結果であり、その死を悼み、名誉を回復しようとする動きがあったことを示しています。また、諡号として文粛が贈られています。これは、彼の学識と人柄を称えたものでしょう。

著書

徐善述は、『尚書直指』という6巻からなる著書を著しました。この書物は、儒教の経典である尚書に関するものであり、彼の学識の深さを物語っています。しかし、この書物が現存するかどうかについては不明です。

結論

徐善述は、明代初期に活躍した官僚であり、その学識と人柄から皇太子に「先生」と呼ばれ重用された人物でした。歳貢制度の開始を機に太学に入り、官僚として着実に昇進を重ねましたが、晩年には罪に問われ、不遇のうちに生涯を終えました。しかし、死後には太子少師の位を追贈され、その功績が称えられました。徐善述の生涯は、明朝初期の政治と文化を理解する上で、重要な一例と言えるでしょう。

参考文献

『明史』巻152 列伝第40
故左春坊左賛善徐公墓誌銘（楊士奇『東里文集』巻18所収）

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