徐東辰

徐 東辰について

徐 東辰（ソ・ドンジン、1900年1月16日 - 1970年1月15日）は、水彩画を得意とした画家であり、韓国の政治家としても知られる人物です。彼は日本統治下の朝鮮で生まれ、後に韓国国会の議員として活動することになります。本貫は達城徐氏であり、著名な画家である徐東均の親戚でもあります。彼の号は「小虚（소허）」です。

経歴の概要

徐東辰は大邱で新教育運動に参加する母のもとで成長しました。1918年に啓聖学校に通い始め、美術教師の李相定の指導を受けながら洋画を学びましたが、1919年の三・一運動の影響で学校を中退せざるを得ませんでした。その後、彼は京城の徽文高等普通学校に転学し、1924年に卒業しました。卒業後は、再び大邱の啓聖学校で美術教師としてのキャリアをスタートさせますが、その傍らで大邱において洋画運動を牽引していきます。

大邱における洋画運動は朝鮮で3番目に規模の大きいものであり、他の地域とは異なり水彩画が中心でした。徐東辰の指導下で、大邱の洋画運動は急成長を遂げ、彼自身は「大邱の近代美術の代父」と称されるようになりました。

画業と個展

1927年には「大邱美術社」を設立し、同年には大邱の朝陽会館で初の個展を開催しました。この個展では風景画や人物画を含む45点を出品し、彼の作品が幅広く評価され始めました。翌1928年にも個展を開き、28年から32年にかけての朝鮮美術展覧会にも出品を続けました。

この頃には多くの若手画家の支援を行い、1928年には文芸団体「零科会」に参加し、さらに1930年には「郷土会」を創立しました。この団体は政局の影響を受けて活動を一時停止しましたが、徐東辰の芸術への情熱は衰えることがありませんでした。

政治活動

光復後の1950年には大邱画友会の設立に関与しましたが、絵画の世界から離れて政治家として活動を始めました。1950年の第2代総選挙では落選しましたが、その後の1954年と1960年の選挙では当選し、国会議員を2期にわたり務めました。その際、彼は多くの文化団体や福祉団体において重要な役割を果たし、その影響力を広げていきました。

しかし、1961年の5・16軍事クーデター後、政界から引退し、再び絵画に専念します。晩年には水彩画から韓国画に移行し、彼のアーティストとしてのキャリアを締めくくることになります。

最後の日々

徐東辰は1970年1月15日に大邱の自宅で逝去しました。彼は70歳でこの世を去りましたが、その遺した作品や影響力は今もなお、多くの人々に影響を与えています。彼の作品には「自画像」（1924年）、 「午後の風景」（1931年）、そして「裏路地」（1932年）などがあり、都市の近代化や路地の風景を描いた作品が多く見られます。彼の業績は、韓国の文化的背景を知る上で重要な要素となっているのです。

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