徒士

徒士（かち）についての詳細

徒士（かち）は、徒歩で主に戦闘を行う士分格を持つ武士を指し、騎乗身分には該当しません。江戸時代には主に下級武士として主君に仕官し、戦場では先頭に立つ役割を担い、平時には城の守りや、行政職といった職務にも従事しました。従って、彼らは士分に含まれるため、士分格を持たない足軽とは明確に区別されます。近代軍制で考えると、徒士は下[[士官]]に類似し、兵士とは異なる存在と捉えられます。

江戸幕府における徒士の役割

江戸幕府では、徒歩組（かちぐみ）は徳川家康が1603年の慶長8年に設立し、初めは9組からスタートしました。その後、人員や組数が増加し、安定した時期には最大で20組が存在しました。これらの組は、徒頭という役職の指揮の下で運営され、各組ごとに2人の組頭が存在し、その下に28人の徒歩衆が配置されていました。徒歩衆は蔵米を受け取り、武士としての基本的な生活を支えられる俸禄を持ち、礼服や平服にも特定の形式が定められていました。家格については、当初の抱席から文久2年（1862年）に譜代へと昇進しました。

諸藩における徒士の名称と役割

多くの藩では「徒士」という名称が一般的ですが、越後長岡藩や飫肥藩では異なる呼称が用いられることもあります。例えば柳河藩では1681年の資料に「御徒」という呼び名が登場し、その後は「御徒士組」や「徒士」として広く使われました。柳河藩の徒士も蔵米知行で生活を支えられており、その知行の内容は多様でした。さらに、徒士の統括役職は藩によって「徒士頭」や「徒士総頭」などと呼ばれました。

臨時雇いの徒士について

制度の中では、常規の徒士とは別に臨時に雇われる徒士格や徒士並が存在しました。商工業が未発達だった藩では、さまざまな技能を持つ者が一時的に雇用されることがありました。これには、筆書や測量、算術などの専門的なスキルを持つ者や、大工、紙漉、彫金等の職業の者が含まれていました。これらの職業に従事する者の中には、材料を調達するために特定の領地を与えられた者もいましたが、大半は給金と扶持米で賄われていました。

明治維新と徒士の教育

三春藩の加藤木重教によると、徒士は純粋な士族ではないため藩校に入学することが許されていなかったが、明治維新以降はこの制限が解除され、教育を受ける機会が与えられました。時代の変化と共に、徒士の役割や社会的位置づけも変わり、明治以降の日本の教育体制においても重要な存在として認識されるようになりました。

脚注

• - 柳川市史編集委員会「柳川歴史資料集第三集・柳河藩立花家分限帳」(福岡県柳川市)
• - 「長岡市史」(長岡市)
• - 野田敏夫「飫肥藩分限帳」(1974年・日向文化談話会)

関連項目

• - 御徒町
• - 徒町 (曖昧さ回避)

もう一度検索