従野孝司

従野孝司(よりのたかし)は、日本のモータースポーツ史に名を刻んだ伝説的なレーシングドライバーです。1950年10月10日、兵庫県神戸市に生まれました。片山義美という有名なレーシングドライバーは異父兄にあたります。

従野のレース人生は、二輪のモトクロスから始まりました。その後、兄が主宰するチーム「神戸木の実レーシング」に所属。カワサキのワークスライダーとして活躍し、後のライバルとなる星野一義や歳森康師らと共に切磋琢磨しました。

1970年、鈴鹿シルバーカップレースで四輪レースデビュー。見事優勝を飾ります。当初は兄が経営するレースショップでプライベーターとして活動していましたが、1972年にはマツダ・サバンナRX-3で全日本T-2レースチャンピオンを獲得。その卓越した才能が早くから開花しました。

1973年からは、兄が所属していたマツダと契約。本格的にワークスドライバーとしての道を歩み始めます。以後、数々のレースで活躍。1977年には富士ロングディスタンスシリーズチャンピオン、1979年にはデイトナ24時間レースでクラス優勝、そして1983年にはル・マン24時間レースで部門優勝と、輝かしい実績を残しました。

従野の活躍が目立ったのは、ロータリーエンジンのマシンを駆るレースでした。サバンナRX-3などのツーリングカー、富士グランチャンピオンレース、グループ5仕様のRX-7、そしてグループCカーによるル・マン24時間レースなど、ロータリーエンジンの力強さを存分に見せつけました。ル・マン24時間レースには通算11回も出場するなど、その情熱は並々ならぬものでした。

従野は、単なるドライバーではありませんでした。優れたマシン開発能力も持ち合わせていました。マシンの挙動を正確にエンジニアに伝え、自身のアイデアを積極的にマシン開発に反映させました。特に、マシンのセッティング変更後には、その変更がタイムに確実に反映されるという、類まれな才能を持っていました。エンジニアとドライバーの理想的な連携が、彼の数々の成功を支えたと言えるでしょう。

しかし、1992年、バブル経済崩壊の影響でマツダがワークス活動を縮小。従野の表立ったレース参戦は減少しました。1995年、鈴鹿1000kmレースにクッズマツダDG-3で参戦したのを最後に、レーシングドライバーとしてのキャリアに幕を閉じました。

従野孝司。その名は、日本のモータースポーツ史に、類まれな才能と情熱を注いだドライバーとして、永遠に刻まれることでしょう。彼の功績は、多くのレーシングドライバーたちの心に深く刻まれ、後世へと受け継がれていくことでしょう。彼の活躍は、日本のモータースポーツの発展に大きく貢献したと言っても過言ではありません。多くのファンに感動と興奮を与え続けた、偉大なレーシングドライバーでした。

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