得川義季

新田 義季について

新田義季（にった よしすえ）または得川義季（えがわ よしすえ）は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した武士であり、後の得川氏や世良田氏の祖とされる。この人物は、清和源氏を僭称した徳川家の松平氏においてもその遠祖と考えられているが、彼の名字の読みについては「得川」と「世良田」どちらが正しいかで議論が行われている。

生涯

新田義季は、新田義重の四男としてこの世に生を受けた。彼には同母兄弟にあたる新田義兼が存在し、義季は新田一門の中でかなりの地位を占めていたと考えられている。父の義重からは、上野国新田郡内の世良田郷を譲り受け、地頭としてこの地を治めることとなった。そのため、世良田という名を名乗るようになったとされる。また、得川郷を領することから、「得川四郎」と名乗っていたという言い伝えも残っている。

義季の後を継いだのは長子の頼有（下野四郎太郎）であり、得川郷を引き継いだことが記録されている。次子の世良田頼氏は世良田郷を継承したとされており、彼にはもう一人の子、頼成もいたとされている。このように新田一門の中で彼らの姓を継ぐことは血統の中で重要な意味を持っていた。

また、承久3年（1221年）には、栄西の弟子である栄朝を住持に迎えて世良田長楽寺を開基し、建立したことが伝えられている。これによって、ある意味で地域的な拠点としても機能していたことが見える。

得川義秀との関係

新田義季と徳河義秀については、鎌倉幕府の史書『吾妻鏡』に名を見出される徳河三郎義秀（とくがわさぶろうよしひで）が、義季と同一人物であるとする意見が通説として広まっている。義季の名前は系図上にのみ存在し、実際の文書には見あたらないため、この見解が支持されている。つまり、事実上の記録がない限り、義季は御家人としての活動は『吾妻鏡』には記載されていない。「義季」という名前は系図の中でのみ語られる存在であったため、議論が展開されている。

ただし、義季の兄である義兼と比べると、義秀はその席次がより前であるため、義季が義兼の弟であるにもかかわらず、義秀よりも後に位置するのは不自然であるとの意見も存在する。このことから、義季と義秀は異なる人物である可能性も指摘されている。

有栖川宮詐欺事件

また、近年の事件においては「有栖川識仁」を名乗る男性が逮捕され、その妻が「八百屋を営む夫の実家は源義季の末裔である」と供述したことが一時話題となった。この主張は非嫡出子として創設された有栖川宮の末裔との関連を引き合いに出したものであったが、実際には根拠のない法螺話として扱われた。他にも、多くの古文書や資料から義季の名前が引き合いに出されることが普段から少ないため、系図に記載されていることの難しさが改めて浮き彫りになった事例といえる。

参考文献

1. 千々和実編 『新田氏根本史料』 国書刊行会、1974年
2. 清水昇 『消された一族-清和源氏新田氏支流・世良田氏』 あさを社、1990年
3. 久保田順一 『新田一族の盛衰』 あかぎ出版、2003年

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