御名御璽

御名御璽（ぎょめいぎょじ）とは

御名御璽とは、天皇の署名である御名と、天皇の印章である御璽を組み合わせた言葉です。主に、詔書や法令などの重要な文書において、天皇による承認を示すために用いられます。天皇の諱（実名）を直接記すことは不敬とされたため、代わりに「御名御璽」という言葉が用いられました。

近現代日本における運用

明治時代初期には、重要な法令は太政大臣の名で公布されていました。しかし、1885年（明治18年）に内閣制度が導入されたことに伴い、憲法、詔書、法律、条約、勅令などは、上諭によって公布される体制へと移行しました。これらの文書の原本には、天皇の親署と御璽の押印がなされ、官報や法令集などでは「御名 御璽」と表記されるようになりました。

「御名 御璽」という表記は、文書の題名から一段下げた位置に記載されます。また、天皇に代わって摂政が署名する場合には、天皇の名と並べて、一段下げた位置に摂政の名前が記されます。その後には、首相や閣僚による副署が続き、こちらは通常通り、氏名が記載されます。

御署名原本

御名御璽が付された原本は、「御署名原本」と呼ばれます。御署名原本は、国立公文書館において特に重要な史料として、厳重に保管されています。

満洲国における運用

満洲国では、当初、執政を元首とする共和制を採用していました。そのため、公布される文書には、執政である溥儀の名前と印が用いられていました。しかし、1934年（康徳元年）に帝政に移行してからは、日本と同様に上諭を付して公布する体制へと変更されました。この際、文書には「御名御璽」と表記されるようになりました。日本の官報での表記とは異なり、満洲国では「御名御璽」の文字間隔は均等に配置されていました。

関連事項

御璽: 天皇の印章。
国璽: 日本国の印章。
上諭: 天皇が詔勅や法律などを公布する際に添える文章。
プラカード事件: 日本共産党員が昭和天皇を揶揄するプラカードに「ギョメイギョジ」と記載した事件。

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