御宿政友

御宿政友について

御宿政友（みしゅく まさとも）は、戦国時代から江戸時代前期にかけて活躍した日本の武将です。その本名は一般に政友とされていますが、他にも綱秀、綱貞、正友、正倫など様々な説が存在しています。また、越前守を名乗り、通称は御宿勘兵衛です。

略歴

政友は武田家臣・御宿友綱の嫡男であり、御宿氏は駿河国駿東郡の有力領主である葛山氏の一族にあたります。彼は武田信玄、勝頼、北条氏政、徳川家康といった様々な主君のもとで仕官しました。その後、家康の次男である結城秀康に仕官し、高い禄を受けたという伝承が残っていますが、実際には500石とされる記録も多く存在します。

慶長12年（1607年）に秀康が亡くなった後、政友はその後を継いだ松平忠直に仕官しましたが、忠直との間にわだかまりが生じ、慶長15年（1610年）には浪人としての生活に入ります。

慶長19年（1614年）には大坂の陣が勃発し、政友は豊臣側で大坂城に入城し、大野治房の補佐を行いました。その結果、忠直が激怒し、5千石の謝礼金をかけるという逸話が残っています。大坂冬の陣では、本町橋の夜討で功名を挙げ、真田丸に加勢したとも言われています。

慶長20年（1615年）、大坂の夏の陣での天王寺・岡山の戦いでは、松平忠直家臣の野本右近によって討たれました。

逸話

徳川家康は、大坂の夏の陣の際に大坂城にいた武将の名簿を見て「浪人の中で真の武者は後藤又兵衛と御宿勘兵衛のみ」と発言したとされます。このことは、彼の武士としての評価を物語っています。

福井藩の記録『国事叢記』によると、政友は野本右近との旧知の間柄であり、夏の陣末期に彼に使者を送り、「忠直様の秘蔵の馬を借りたい」と申し出ました。この提案に忠直は激怒しましたが、野本の説得により、政友はその馬を得ることができました。結局、政友はその馬に乗って激戦の中で討ち死にしました。

また、家康の愛刀として有名な「妙純傳持ソハヤノツルキウツスナリ」が実は御宿氏の伝来の刀だとも言われています。

伝説では、政友は武田信玄の孫であるとも言われていますが、幼少期に父から勘当され北条家に移ったとする話もあります。歴史家の福本日南は、政友が北条家の松田憲秀に仕えたという記録が誤解によるものであると指摘しています。

また、彼は江戸中期の軍学者による記録で、過去に家康の家臣であったが何らかの事情で浪人になり、その後秀康に招かれたというエピソードも残っており、多くの軍人と共にこの時代を生きました。彼の名前が残る背景には、武士道の大切さや武将としての生き様が色濃く反映されています。

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