福本日南

福本日南（ふくもと にちなん）

福本日南は1857年6月14日に福岡で生まれ、日本のジャーナリスト、政治家、そして史論家として知られています。彼の本名は福本誠であり、若年時には「巴」という幼名でも呼ばれました。日南という号は彼の後の活動を象徴する名前です。彼は福岡藩士で、国学者である父、福本泰風の影響を受けて成長しました。

経歴

日南は、藩校の修猷館で学んだ後、長崎で谷口藍田に師事し、更に東大の前身である司法省法学校に進学しました。しかし、若い時期には「賄征伐」事件に関与し、退校を余儀なくされました。その後、彼は北海道の開拓に尽力し、1888年にはフィリピン開拓を目指して同じく南進論者の菅沼貞風と共にマニラに渡りましたが、菅沼の急死によって計画は頓挫しました。

帰国後、日南は政教社同人を経て、1889年に陸羯南や国分青崖と共に新聞『日本』を創刊します。ここで彼は多くの政治論評を執筆し、後に正岡子規との関係も築きました。また、1891年にはアジア諸国との通商と移民に関する研究組織である東邦協会を設立し、孫文の中国革命運動にも関与しました。

1905年には「九州日報」の主筆兼社長に就任し、続いて1908年には憲政本党から衆議院議員に当選します。この頃に『元禄快挙録』の連載を開始し、また大正5年には中央義士会を創設し、その初代幹事長に任命されました。日南の活動はさまざまなジャンルにわたりました。

人物像

福本日南は南進論を主張し、フィリピン植民事業に情熱を注いでいました。彼は旧友の菅沼が遺した『大日本商業史 附平戸貿易史』を1893年に校訂・刊行するなど、友人の業績をも尊重しました。また、美術館に滞在中に南方熊楠と出会った際の交流を「出てきた歟」と題した随筆で描き、熊楠を日本に紹介しました。

彼の著作『元禄快挙録』は赤穂浪士を讃える一方で、忠臣蔵に関連するさまざまな俗説を排し、歴史を考察するものとして評価されました。この作品は近代日本の忠臣蔵観に大きな影響を及ぼしましたが、日南の記述には歴史的な事実と異なる点も多く見られました。

主な著作

福本日南の著作には、多くの重要なタイトルが含まれています。1882年に『北門時事』を皮切りに、1892年には『海国政談』、1900年には『現欧洲』、1910年に『直江山城守』など、彼の多才さを示す作品が多くあります。また、1910年から1914年にかけては『元禄快挙録』関連の著作が多く、これらは特に評判となりました。最晩年には、多くの歴史的著作を残し続けました。最後の頃に執筆された『大阪城の七将星』なども、その一環です。

晩年と死

大正10年（1921年）、日南は千葉県の大多喜中学校で講演中に脳溢血で亡くなりました。この日、彼の活動が残した影響は今なお色あせることなく、多くの後世に引き継がれています。彼は青山霊園に足を運ぶことで、今でも人々に記憶されています。

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