御宿友綱

御宿友綱の人物像とその歴史的背景

御宿友綱（みしゅく ともつな、1546年 - 1606年）は、日本の戦国時代から江戸時代初期にかけて活躍した武将です。彼は駿河の国人領主である葛山氏の庶流に生まれ、父である御宿綱治のもとで成長しました。母は甲斐武田氏の家臣、跡部勝忠の妹であり、周囲には武家の影響が色濃く見えます。

幼少期と出家

友綱は天文15年（1546年）に生まれ、10歳を迎える頃には両親と離れ、駿州相国寺に出家しました。しかし、氏と母がともに人質に取られる危機に直面し、父は今川義元と対立することになりました。また、今川の兵により家族を失った友綱は、恨みを抱くことになります。

武田信玄への仕官

友綱は永禄元年（1558年）、甲州へ逃げ、母方の伯父である跡部勝忠に助けを求めました。この縁を通じて、彼は武田信玄に仕官し、川中島の戦いなどで軍功を挙げました。元亀3年（1572年）には信玄から多くの土地を安堵され、家の名声を高めます。また、葛山氏に同族であった方からの信任を受け、葛山信貞の軍代を務めることにもなりました。

隠居とその後

友綱は信玄の死後、信玄の葬儀の際に出家し、頤神軒善養と名乗りました。天正8年（1580年）には子の御宿政友に家督を譲り、隠居生活を始めます。天正10年（1582年）の織田信長の甲州征伐によって武田氏が滅亡した後は後北条氏に仕官するものの、その後の小田原征伐で後北条氏も滅び、友綱は上野国藤岡に籠居することになります。彼の子供たち、長男の政友は徳川家康、次男の政綱は松平忠輝に仕官する道を選びました。

学問と医術の才能

友綱は武将としての腕前のみならず、学問や医術にも秀でていたことで知られています。『武田源氏一流系図』では「宏学人」とされ、多くの著作を世に出したと言われています。また、信玄の侍医から医術を学び、医療にも精通していたとされます。彼の教養は、武将としての役割を越えて、地域の発展に寄与した一因とも言えるでしょう。

終焉

慶長11年（1606年）3月21日、御宿友綱は61歳で生涯を閉じました。彼の人生と業績は、戦国時代の複雑な歴史の中で彼自身の信念と武士道を体現したものであったと言えます。御宿氏は、友綱の後もその名を受け継ぎ、武士の血筋を伝える家柄として地域社会に名を馳せ続けたことでしょう。

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