御崎 (宮城県)

御崎（おさき）

宮城県気仙沼市唐桑半島の先端に位置する御崎は、自然豊かな景観が魅力の地です。かつては陸中海岸国立公園の南端に位置していましたが、現在は三陸復興国立公園の一部となっています。

地理と景観

御崎の先端には御崎岬灯台が設置されており、その周辺には老磯島、児置島、御山崎という特徴的な三つの岩島が点在しています。これらの岩島は、太平洋の荒波によって削られた独特の形状をしており、御崎の景観をより一層魅力的なものにしています。御崎駐車場からアカマツ林の中を500メートルほど歩くと御崎岬に到着し、そこからは太平洋の雄大な景色を望むことができます。

この地域は、黒潮と親潮が交わる海域に位置しており、海水の透明度が高いことも特徴です。黒潮が北上する4月から10月にかけては、暖かく穏やかな海が広がりますが、親潮が南下する11月から3月にかけては、海の色も変わり、冬の厳しい表情を見せます。

地質

御崎の地質は、中生代三畳紀の地層が隆起して形成されたものです。赤みを帯びた砂岩堆積層や石灰を含んだ砂岩泥岩層、そして変成岩などが見られ、約20メートル隆起した地形は、海底岩盤が折り重なってできた褶曲や断層によって複雑な構造をしています。また、古生代末期の海退によって形成された岩場は、石灰が混合した頁岩で覆われ、その下には粘板岩や玄武岩が混在しています。溶岩熱によって変質した石灰岩や火山活動で粉砕された石灰岩なども堆積層に含まれており、地質学的に非常に興味深い場所と言えます。

海岸線は、場所によって岩の色や質感が異なり、特に崎浜や御崎西側の岩場は、スレート状の黒色粘板岩が特徴です。一方、東側には泥灰色の粘板岩が混在しています。東側の断崖の麓には海底断層があり、隆起や沈降によって複雑な地形を形成しているため、波の高い日には、岩島の周囲や沿岸海域が白く泡立つ様子が見られます。

記念碑と施設

御崎には、伊達吉村公歌碑や高村光太郎文学碑などの記念碑が建てられており、歴史や文化に触れることができます。また、鯨塚や鯨伝説も残っており、この地域と海の深いつながりを感じることができます。その他、唐桑町戦没者の慰霊碑である忠魂碑も建立されています。

施設としては、国民宿舎からくわ荘や唐桑半島ビジターセンター、御崎キャンプ場があります。唐桑半島ビジターセンターには、かつて日本で唯一津波の疑似体験が可能な津波体験館が併設されていましたが、老朽化のため2022年6月に閉館しました。

観光情報と注意点

御崎には、御崎神社側と国民宿舎側の2つの駐車場があります。灯台のある御崎岬や老磯島、児置島へ行くには、御崎神社側の駐車場が便利です。一方、キャンプ場や唐桑半島ビジターセンター、御山崎方面へは、国民宿舎側の駐車場を利用すると良いでしょう。

巨釜半造と御崎を結ぶ遊歩道は、往復10km近くあるため、時間に余裕を持って訪れることをお勧めします。海岸線は防風林としてのアカマツ林に覆われていますが、岩場は滑りやすい場所や尖った場所があるため、注意が必要です。特に雨上がりや朝は滑りやすいため、足元に注意して散策するようにしましょう。

交通アクセス

三陸縦貫自動車道を利用し、国道45号線を経由して、宮城県道239号線または26号線に入ります。巨釜方面へは曲がらずに直進し、約10km、車で約20分で御崎に到着します。

関連情報

宮城県の観光地
御崎観光埠頭
陸前御崎岬灯台
御崎神社（日高見神社）

外部リンク

唐桑町御崎神社
国民宿舎からくわ荘
唐桑半島ビジターセンター＆津波体験館
宮城の旅　気仙沼市　御崎
唐桑町観光協会
唐桑町漁業協同組合
* 国土地理院地図：唐桑半島1/25,000

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