御手洗玄洋

御手洗玄洋：宇宙医学と視覚生理学を繋いだ生涯

御手洗玄洋（みたらい げんよう、1921年1月5日 - 2015年6月28日）は、日本の宇宙医学および視覚生理学における第一人者です。名古屋大学名誉教授として長年にわたり研究と教育に携わり、日本の宇宙開発にも大きく貢献しました。

1946年、名古屋帝国大学医学部を卒業後、名古屋大学医学部附属病院などで研鑽を積みます。その後、名古屋大学環境医学研究所に所属し、1948年から1949年にかけては東北大学に留学、本川弘一教授の下で電気生理学的手法による視覚研究を学びました。帰学後、肺結核のため療養生活を送る期間もありましたが、1950年には名古屋大学環境医学研究所助手となり、研究活動を再開します。

1954年には医学博士の学位を取得。助教授、教授へと昇進し、1959年から2年間は文部省在外研究員としてベネズエラに留学、グンナー・スヴァエティチン博士と共同研究を行いました。この留学は、彼の研究人生に大きな影響を与えたと考えられます。帰国後も研究活動を続け、1967年には名古屋大学環境医学研究所教授に就任。航空医学を担当する部門を率いました。

御手洗氏の研究活動は、大学での教育・研究にとどまりません。1978年から1979年にかけて宇宙開発委員会専門委員を務め、1979年に設立された宇宙開発事業団（NASDA）のスペースシャトル利用委員会にも当初から委員として参加しました。1984年の定年退官まで、日本の宇宙実験計画に尽力し、日本の宇宙開発史に大きな足跡を残しました。

大学での役職としては、1983年には名古屋大学環境医学研究所長に就任。1984年に名古屋大学を退官後も、中京大学体育学部教授、学部長、さらには大学長代行を務め、教育者としての道を歩み続けました。

その功績が認められ、1995年には勲三等旭日中綬章を受章しています。

研究活動以外では、俳句と書道を嗜んでいたという一面も持ち合わせていました。肺炎療養中に出会った俳人の山口誓子から指導を受け、俳句の世界にも造詣が深かったようです。

御手洗玄洋の経歴は、学術研究、教育、そして日本の宇宙開発という、多岐にわたる分野での活躍を示しています。彼の業績は、医学、生理学、宇宙開発といった分野の発展に大きく貢献し、後世に長く記憶されるべきものです。また、彼の家族背景には、キヤノン創設者の御手洗毅を伯父に、キヤノン会長兼社長を務めた御手洗冨士夫を弟に持つなど、日本の産業界に大きな影響を与えた一族に属していたことも特筆すべき点です。元キヤノン社長の御手洗肇は従兄にあたります。これらの事実は、彼の生き方や思考にも影響を与えた可能性があります。

もう一度検索