御池

御池：神秘的な火口湖と歴史の痕跡

宮崎県都城市と高原町にまたがる御池は、直径約1キロ[[メートル]]、周囲約3.9キロ[[メートル]]のほぼ円形をした火口湖です。高千穂峰の雄大な姿が水面に映る、息を呑むような美しい景観が特徴です。標高305メートル、水深93.5メートルを誇り、その深さは日本の火口湖の中で最も深いとされています。

周囲は豊かな森に囲まれ、静寂に包まれた空間が広がります。湖畔には「御池野鳥の森」と呼ばれる公園とキャンプ場があり、オシドリ、コガモ、トモエガモなど、様々な水鳥たちが生息しています。自然豊かな環境は、多くの野鳥観察愛好家や自然愛好家を引きつけます。

御池は、約4600年前に起きたマグマ水蒸気爆発によって形成されたと考えられています。これは霧島火山群の歴史において、最大規模の噴火だったと推測されており、その噴火の激しさを物語る痕跡が、周辺の地層に残されています。噴火によって飛散した軽石は「御池軽石」または「御池ボラ」と呼ばれ、地質学的な研究対象としても注目されています。

古くから人々に親しまれてきた御池には、数々の伝説が伝えられています。池岸には「松の港」「軀瀬港」「皇子港」「創崎港」「苅茅港」「柳港」「護摩壇港」の七港があったとされ、神武天皇が幼少期に皇子港で遊んだという伝説も残っています。また、修験道の祖である性空上人が、この地で護摩焚の修行を行ったと伝えられており、池から南東約9キロ[[メートル]]には性空上人が開いたとされる東霧島神社、西北すぐ傍には霧島東神社が位置しています。特に霧島東神社からは、御池の絶景を一望することができます。

一方で、御池は戦争の影も背負っています。第二次世界大戦末期、日本軍が敗戦濃厚となった際に、武器を敵の手に渡らないように、湖底に沈めたという噂が、現在も語り継がれています。戦車や銃などの武器が沈んでいるという話に加え、近年でも2006年と2016年に、手榴弾が御池周辺で発見されていることから、この噂の裏付けとなるような状況も見られます。発見された武器類は、都城市と高原町が共同で処理しているとのことです。

さらに、御池周辺地域は、都城市と高原町の境界が未定となっている複雑な状況にあります。この境界問題については、両市町間で何度も協議が行われてきたものの、いまだ解決に至っておらず、今後の課題となっています。

このように、御池は、美しい自然と、歴史、そして戦争の記憶が複雑に絡み合った、奥深い魅力を持つ場所です。静寂に包まれた湖面、豊かな自然、そして歴史の痕跡を探る旅は、忘れられない体験となるでしょう。

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